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12月09日-03号

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  1. 奈良市議会 1996-12-09
    12月09日-03号


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    平成 8年 12月 定例会平成8年奈良市議会12月定例会会議録(第3号)---------------------------------------   平成8年12月9日(月曜日)午前10時13分開議--------------------------------------- 議事日程  日程第1 報告第30号 平成7年度奈良市歳入歳出決算の認定について  日程第2 議案第85号 平成8年度奈良市一般会計補正予算(第4号)       議案第86号 平成8年度奈良市下水道事業費特別会計補正予算(第2号)       議案第87号 平成8年度奈良市国民健康保険特別会計補正予算(第1号)       議案第88号 平成8年度奈良市老人保健特別会計補正予算(第2号)       議案第89号 平成8年度奈良市土地区画整理事業特別会計補正予算(第2号)       議案第90号 平成8年度奈良市水道事業会計補正予算(第1号)       議案第91号 奈良市営住宅条例の一部改正について       議案第92号 奈良市改良住宅条例の一部改正について       議案第93号 奈良市コミュニティ住宅条例の一部改正について       議案第94号 奈良市水道事業の設置等に関する条例の一部改正について       議案第95号 奈良市水道事業給水条例の一部改正について       議案第96号 財産の取得について       議案第97号 市道路線の認定について       議案第98号 市営住宅明渡請求に関する訴えの提起について--------------------------------------- 本日の会議に付した事件  第1、日程に同じ--------------------------------------- 出席議員(44名)              1番  榧木義秀君              2番  池田慎久君              3番  山中賢司君              4番  森田一成君              5番  竹内成之君              6番  蔵之上政春君              7番  金野秀一君              8番  大井国崇君              9番  岡田佐代子君             10番  松村和夫君             11番  山口裕司君             12番  中村篤子君             13番  矢追勇夫君             14番  松田末作君             15番  峠 宏明君             16番  上原 雋君             17番  森 純男君             18番  山口 誠君             19番  船越義治君             20番  島崎光治君             21番  松石聖一君             22番  黒川恵三君             23番  田中美智子君             24番  原田栄子君             25番  中西義次君             26番  山本 清君             27番  吉田文彦君             28番  米澤 保君             29番  堀田征男君             30番  福西 靖君             31番  北尾好章君             32番  岡本志郎君             33番  大谷 督君             34番  日和佐穣甫君             35番  小林照代君             36番  横田利孝君             37番  中村誠一君             38番  扇田善次君             39番  小嶋高年君             40番  浅川清一君             41番  中村重信君             42番  和田晴夫君             43番  横井健二君             44番  橋本和信君 欠席議員            なし--------------------------------------- 説明のため出席した者            市長       大川靖則君            助役       桐木 弘君            助役       山中 俊彦            収入役      岩井健司君            市長公室長    山岡彦一君            企画部長     南田昭典君            総務部長     河村 武君            税務部長     酒井吉男君            市民部長     南 哲也君            民生部長     道地義弘君            福祉部長     高橋央生君            環境清美部長   香村侃彦君            経済部長     村田勝彦君            建設部長     藤澤久男君            都市計画部長   吉田信博君            都市整備部長   吉村隼鷹君            水道局長     辻谷清和君            給水部長     木田 享君            浄水部長     木村誠二君            消防長      林 茂樹君            教育委員長    青山 茂君            教育長      河合利一君            教育総務部長   北尾義次君            社会教育部長   喜夛仲卯太郎君            監査委員     玉川 孝君            財政課長     中井正一君--------------------------------------- 議会事務局職員出席者            議会事務局長   村田昌三            庶務課長     林 英典            議事課長     遠藤忠臣            調査課長     福田惠一            議事課長補佐   福井 進            調査課長補佐   吉村安弘            議事係長     加井康章            速記       谷口藤男---------------------------------------  午前十時十三分 閣議 ○議長(中村誠一君) 休会前に引き続き会議を閣きます。--------------------------------------- △日程第一 報告第三十号 平成七年度奈良市歳入歳出決算の認定について 外十四件(質疑並びに一般質問) ○議長(中村誠一君) 直ちに日程に入ります。 日程第一、報告第三十号 平成七年度奈良市歳入歳出決算の認定について及び日程第二、議案第八十五号 平成八年度奈良市一般会計補正予算より議案第九十八号までの十四議案、以上十五件を一括して議題といたします。 質疑並びに一般質問を行います。 休会前に引き続き代表質問を行います。 八番大井君。  (八番 大井国崇君 登壇) ◆八番(大井国崇君) 私は、奈良市議会公明議員団を代表いたしまして、通告いたしました数点について、市長並びに教育長に質問いたします。 まず初めに第一点日は、行政改革の推進についてお尋ねをいたします。 今や国の隅々にまで、思い切った、大胆な行政改革、地方分権、規制緩和の断行を求める声が満ちあふれていることは、御承知のとおりであります。行政改革において今求められているのは即実行であり、決して竜頭蛇尾に終わるとか、羊頭狗肉でお茶を濁すことがあってはならないと考えます。 さて、それはさておき、九月定例会の本会議で、私より奈良市行政改革大綱の早期制定を求めたことに対し、今年中に制定と答弁をいただき、先般、奈良市告示第五百二十五号でもって奈良市行政改革大綱を告示されましたことに対し敬意を表するものであります。 そこで、以下五点、具体的にお尋ねをいたします。 その第一点は、行政改革大綱を推進するに当たって、年次別にターゲットを絞って実施すべきであると考えますが、いかがお考えでありましょうか。 その第二点は、行政改革大綱の推進に当たっては、中心的に旗を振り、目標設定や数値化を統括、推進する部署の設置が必要ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。 その第三点は、行政改革大綱の推進事項の一つとして、行政手続制度が述べられていますが、導入に当たっては行政手続条例が必要と考えますが、いかがでしょうか。 その第四点は、同様に推進事項の一つとして、政策形成機能総合調整機能が述べられていますが、その充実・強化についてどのようにお考えでしょうか。 その第五点は、同じく推進事項である行政情報の伝達システムについて、いかがお考えでしょうか。 以上五点お伺いをいたします。 次にお尋ねいたします第二点目は、情報公開制度についてであります。二点お尋ねいたします。 その第一点は、情報公開を求める市民の利用しやすさのために、専門的に担当する部門、とりわけ総合窓口の設置が必要と考えます。例えば、お隣の大津市では市政情報室を開設されています。いかがでしょうか。 その第二点は、公文書の保存、閲覧等をつかさどる機能も必要であります。新潟市では公文書館という独立した建物を持っておられます。フロッピーなどのニューメディアや、これから開発されるニューメディアなどを含め保存するための公文書館の設置について、どのようにお考えか、お尋ねをいたします。 次に第三点目として、市職員のボランティア休暇制度の創設について伺います。人事院は阪神・淡路大震災をよき教訓として、国家公務員ボランティア休暇制度を来年一月一日から実施することを決定したと報道されております。去る九月定例会で、私も一般質問において、多くの人々がボランティア活動を通して社会貢献を果たし、活力ある地域づくりまちづくりに大きな役割を演じたいと念願されているので、市が中心になってボランティアの組織化を行うべきだと主張したところですが、今回、国家公務員に限定されているとはいえ、ボランティア休暇制度が創設されることに対し賛意を表するものであります。 そこで、市長に伺います。栃木県大田原市では既に実施されていますし、徳島県では今年度から創設を見ております。兵庫県人事委員会でも、つい先日、来年一月より導入と決定されました。本市においても、このボランティア休暇制度を導入するお考えはありませんか、お尋ねをいたします。 次に第四点目として、子ども議会についてお伺いいたします。子ども議会の開催につきましては、かねてより我が党が提唱してまいりましたが、去る七月十八日、この奈良市議会議場奈良市立小学校四十四校の代表四十四名の出席のもと、開催をしていただきました。各校児童、保護者の方々、教員の先生方等々から、議会の仕組みや市政について学ぶよい機会であったとか、今後続けてほしいなど喜びの声を数多く聞いております。 また、さきの九月定例会でも、我が党の島崎議員の質問に対して、今後も継続して開催したいとの答弁をいただき、敬意を表するところであります。 さて、過日の子ども議会で、子供たちの貴重な意見や要望に対し、市長は前向きの答弁をされましたが、子供たちの要望については、できる限りくみ上げていただいて、新年度予算に反映できるものは極力反映していただきたいと私からも切望するものでありますが、いかがお考えか、お聞かせ願います。 なお、子ども議会の継続についてでございますが、四十四校中十校から質問を受けていただきましたが、あと三十四校がまだであり、小学校だけでもあと三、四年かかるわけであります。全校から質問を受けていただき、子ども議会を末永く続けていただくよう要望しておきたいと思います。 次に第五点目として、納税意欲の向上について伺います。バブル経済の崩壊後、我が国の経済は長期にわたって低迷し、今後も急速な景気回復は望み薄という厳しい状況であり、税収入の伸びについても非常に厳しい状況にあると存じます。さらに追い打ちをかけるように、新聞紙上をにぎわわしている政界、官界の腐敗や不信の増幅で納税意欲をそぐ結果となり、ひいては税収入の低下や滞納額の増加という最悪の事態を招きかねないと危惧するところであります。 そこで、税の使い道をガラス張りにするなどして、公務員や行政に対する不信感を払拭するとともに、重要な財源である税を適正に確保するために、市民に税を正しく認識、理解していただき、納税意欲の向上を図ることができる、かつまた税全般を包括した、わかりやすい税のハンドブックまたは税のしおりを作成して全戸配布し、各御家庭で長期に保管、活用してもらってはと提案する次第であります。御所見をお聞かせいただきたいと存じます。 次に第六点目として、環境問題についてお尋ねいたします。最近の新聞報道によりますと、この十二月県議会で奈良県環境基本条例案とあわせ、奈良県生活環境保全条例案も二つあわせて提案されると報道されております。市町村の協力とか連携など、市町村との責務とも関係してくると思いますが、奈良市としてどのように認識されておるのでしょうか、また、どのように対応されるのか、お聞かせ願います。 次に第七点目として、市制百周年記念事業についてお尋ねをいたします。奈良市は、あと一年余りで市制百周年という慶事を迎えます。すなわち、奈良市は明治三十一年二月一日の市制施行から今日まで順調に発展を続け、今、近畿圏の中核都市の一つとしてさらに大きく飛躍すべきときを迎えているわけであります。また、あと四年余りで二十一世紀を迎えるという時代の大きな転換期とも符合しております。この記念すべきときを迎えるに当たって、市長は、去る十一月一日号の市民だよりの抱負の中で、子供からお年寄りまでの交流を大切にしたい旨や次の百年への出発となるような記念行事をしていきたい旨を語っておられます。 そこで、具体的に二点お尋ねをいたします。その第一点は、過日、市民から市民公募のアイデアイベントを募集されました。その中から選考された市民イベント案のその後の検討結果や具体化については、いかが進んでいるのでしょうか、お伺いをいたします。 その第二点は、私から一つのアイデアとして、以下に提案するものであります。市制百周年の次の百年とは、今はまだ就学途上の子供たちや年若き青少年がまさに世界に向かって飛しょうし、世界の各界の舞台で乱舞する時代であります。その意味から、市制百周年記念事業は、未来からの大使とも呼ばれる子供たちや青少年の門出を祝う事業を中心に据えることが望ましいのではないかと考えます。 そこで、私は一つのアイデアとして、国内及び海外姉妹都市・友好都市の子供たちや青少年による民族色豊かな音楽祭を市民ホールで開催してはと提案する次第であります。音楽は、民謡や童謡も含め、先人から受け継いだ貴重な歴史や豊かな自然、すぐれた文化を包含したものであります。本市においては、音声館を中心に童謡の継承や普及がなされつつあります。また、異文化に触れるよい機会になるのではないかと考えます。本市は幸いにも、古い歴史や伝統を有する中国・西安市を初めとした海外五都市と友好都市・姉妹都市提携を行い、市民相互間の親善と交流を深めていることから提案するものですが、市長の御所見を伺いたいと存じます。 次に第八点目の質問として、高齢者福祉・少子化対策について質問いたします。その第一点は、公的介護保険についてであります。政府は、去る十一月二十九日に、国会に、平成十二年度から導入される介護保険法案を提出いたしました。公的介護保険は、介護を社会全体で支えるという意味では期待し得る制度であろうと考えるところであります。しかしながら、一方では、市の財政に大きい負担がのしかかってくるのではないかと危惧するところであります。高齢者などの中には保険料を支払えない場合もあろうかと思いますし、こうした場合、保険者たる市が負担することになるのか、それとも都道府県で設置される財政安定化基金から負担するのか、今わかっている範囲で結構でありますので、お答えをいただきたいと思います。 また、要介護認定、要支援認定など制度運営に関する事務費も膨大になると思いますが、これに対する補助はどうなるのでしょうか。 さらに、保険財政において他市町村との共同で広域的な運営ができるとされているようですが、奈良市のお考えはいかがか、お聞かせいただきたいと存じます。 その第二点は、在宅介護支援センターの設置についてであります。もしも介護が必要になった場合、大半の力は、自分の家庭で家族と一緒に住み続けながら介護を受けたいと思っておられると推察いたします。どうしたら在宅介護生活を続けられるのかといった相談や各種サービスの申請など、地域に分散され、かつまた密着された形の在宅介護支援センターの存在が、今後ますます重要になると考えます。高齢者が安心して生活し続けるために、在宅介護支援センターの機能の充実、整備が望まれるところでありますが、現在の設置状況、運営状況をお聞かせいただきたいと存じます。 その第三点は、音楽療法の推進方針について伺います。高齢化の進展に伴い、福祉施設などハード面の整備、充実も、当然ながら必要不可欠でありますが、同時に、高齢者がいつまでも健康を持続し得る施策が肝要と存じます。その一環として市長が取り人れられた音楽療法は、痴呆予防や進行抑制、リハビリに、音楽が持つさまざまな特性を発揮するものとして全国的にも注目されており、全国に先駆け、実施されようとしていることに敬意を表するものであります。 そこで、お伺いいたします。来年度より実施される音楽療法の具体的な推進方針についてお聞かせいただきたいと存じます。特に、音楽療法士コースアシスタントコースに在籍して研修を続けておられる方々が、来年春には資格認定試験を経て音楽療法士としてスタートを切られますが、その方々の活動の場をどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。 その第四点は、地域保健法の成立に伴う母子保健事業の強化についてであります。少子化が叫ばれて久しいわけですが、平成七年には出生率が一・四三と過去最低となりました。地域保健法の成立で、来る平成九年四月一日より施行となり、次代を担う子供たちに対する母子保健事業の充実が求められているところであります。どのような体制強化をお考えになっているのか、お伺いをいたします。 次に第九点目として、地域高齢者住宅計画推進事業、特にシルバーハウジングプロジェクト事業の推進についてお尋ねをいたします。急激な高齢社会が到来しつつある今日、市営住宅建てかえ事業にあわせた高齢者世帯向け住宅の供給と、その住宅団地の一部にデイサービスセンター等高齢者福祉施設を複合的に併設した形の、高齢者が安心して暮らせる計画的なまちづくりがぜひ必要と考えるものであります。 具体的には、住宅団地内のデイサービスセンターライフサポートアドバイザー、略称LSAと呼ばれる生活支援相談員を常駐または派遣するとともに、このLSAと協力し合うボランティアなど近隣の協力員とのチーム編成でもってローテーションを組みながら、高齢者の生活相談、安否の確認、一時的な家事援助、緊急時の対応、病院などとの連携で高齢者世帯をバックアップする団地の形成が望まれるところであります。本市においては、奈良市新総合計画第二期基本計画の中でシルバーハウジングプロジェクト構想として位置づけられております。 そこで、具体的にお伺いをいたします。その第一点ですが、現在構想されている事業概要をお示しいただきたいと存じます。 その第二点ですが、急激な高齢社会の到来で時期的にも急がれますが、事業の立ち上げをいつごろとされているのでしょうか。 その第三点ですが、立地条件としては、いかがお考えでありましょうか。私としましては、高齢者を支える場という観点から、やはりバスなど交通が便利であり、国公立病院が至近距離にあること、ショッピングなど商業圏が近傍にあることが必要不可欠と考えます。このような観点に立つならば、本市内という限定された範囲の中では、県営、市営、公団の各種住宅が集中している紀寺団地などが最適ではなかろうかと思いますし、今後の事業展開が望ましいと思いますが、いかがお考えでしょうか、お尋ねをいたします。 次に第十点目として、環境清美事業について三点お尋ねをいたします。先般の教育厚生委員会において詳しい報告がありましたが、第五回ごみ減量化推進全国大会におきまして、本市が、市民と行政が一緒になって取り組んできたごみ減量・リサイクル推進事業が全国的に認められ、全国に先駆けてクリーン・リサイクルタウンとして、奈良市が厚生大臣より選定されました。循環型リサイクル社会の構築に向けて取り組んできた奈良市として大変名誉なことであり、また同時に、長年、環境問題に取り組んできた我が党公明としましても大変喜ばしいと思っております。長年にわたり、ごみ減量・リサイクル推進事業に額に汗して取り組んでこられた官民双方の関係者に心からの敬意を表するものであります。これを機に、行政はもとより、市民一人一人が改めてごみや環境に対する問題意識をより深化させるとともに、環境に優しいまちづくりに向けた取り組みを強化しなければならないと認識するものであります。 そこで、質問の第一点ですが、リサイクルセンター及び第二清掃工場の建設について伺います。まず、リサイクルセンターについてでありますが、先ほど申しましたクリーン・リサイクルタウンの選定事業で、これまで全国でおよそ七十の市町村や一部事務組合が選定されたと伺っていますが、この選定を受けた都市の中にはリサイクルセンターリサイクルプラザなどの施設を有しているものが少なくありません。我が党もこれまで、予算要望はもとより、機会あるごとにリサイクルセンターあるいはまたリサイクルプラザの必要性を訴えてまいりました。また、先般の九月定例会におきましても、回収した再生資源の選別・保管施設としてだけでなく、電話申し込み収集などにより回収された大型ごみの補修、再生、展示・販売を可能にするスペースを有したリサイクルプラザ機能を兼ね備えたリサイクルセンターの構想を市長より伺っております。現在の進捗はいかがでありましょうか、現在の状況をお聞かせいただきたいと存じます。 また、第二清掃工場についてでありますが、ごみの発生量が増加の一途をたどる現在、発生したごみの適正処理能力を確保することが大きな課題であることは論をまちません。現在の環境清美工場の処理能力も日量四百八十トンというものの、ごみ量の増加とごみ質の変化により、公称能力を十分に発揮できなくなりつつあり、現在の発生量を処理するのが目いっぱいであるとも伺っているところであります。新たなごみ処理事業の拠点となる第二清掃工場の建設が急がれますが、その用地の選定等も含め、建設計画の現在の状況についてお聞かせ願います。 その第二点ですが、製造者責任によるごみの適正処理について伺います。製造物に関しては、平成七年に成立しました製造物責任法通称PL法に代表されるように、事業者がみずから生産、販売した製品に関しては、消費者や社会に対する責任を持ち、万一、製造物に欠陥があれば賠償責任を製造者が負うと定められました。このPL法は、一般的には、製造物の品質、機能、安全性などについて適用されるものでありますが、敷衍して言えば、製造物の使用後の環境に対する影響をも事前に考慮する、つまり、ごみになったときのことも事前に評価した上で製品開発をするべきであり、廃棄後の環境負荷を考慮した製品アセスメントの考えに通ずるものと思うものであります。本市では、消火器やガスボンベ等、爆発性のあるものや農機具やピアノなどは処理困難物としてリストされておりますし、平成六年に厚生省も、大型テレビ・冷蔵庫、タイヤ、スプリング入りマットレスの四品目を適正処理困難指定廃棄物として指定いたしました。今後の産業活動を考えると、処理困難物が大幅にふえてくる、あるいは複合化してくると思いますが、製造物責任、製造者責任という観点から関係業界へどのように指導されているのか、お聞かせいただきたいと存じます。 その第三点は、販売事業者への指導についてであります。この問題も製造物責任に関連してお尋ねするものであります。昨年成立した容器包装リサイクル法が、いよいよ来年四月より施行されます。市民、事業者、自治体の三者がお互いの役割分担のもと、責務を果たすことが定められております。販売事業者に対しても販売者責任に基づく分別回収等の自主的な取り組みを求めていくべきでありますし、法の精神から考えても、回収品目の拡大等、新たな活動が要求されると思います。事業系ごみが全体ごみの約四割程度を占めると言われておりますが、この事業系ごみ減量・リサイクル推進に向けた事業者への指導について、今後どのように取り組まれるか、お聞かせ願います。 以上、第一点から第十点まで市長にお尋ねをいたしました。御所見をお聞かせいただきたいと存じます。 次に、最後の質問でありますが、教育長に生涯学習、とりわけ生涯学習センターの完成後の運用について三点お伺いをいたします。生涯学習に関する市民の関心は、近年の社会情勢の急激な変化や市民の意識・価値観の多様化に伴い、ますます増大をしております。このような市民の学習ニーズに対応していくために生涯学習センターの充実、特にソフト面の充実が重視されるところであります。 そこで、その第一点は、先般、起工式が済み、間もなく工事が開始されます生涯学習センターの事業内容、特に教育機関との連携についてお尋ねをいたします。「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」と題する文部省の生涯学習審議会の答申においても、生涯学習の振興のために大学など教育機関との連携、協力が必要である旨、述べられております。幸い市内、県内、隣接府県には大学、短大など教育機関が公立、私立ともに多数ありますが、連携や協力をどのように進められるのか、お尋ねをいたします。 その第二点は、生涯学習の情報提供についてであります。市民の多種多様な学習ニーズに対応するためには、さまざまな学習情報を的確に、かつ迅速に収集あるいは編集し、市民に提供できるかが重要と考えます。生涯学習センターにおいて情報提供をどのような形で実施しようと考えられているのか、お聞かせ願います。 その第三点は、教育ボランティアについてであります。生涯学習は市民の自発的な意思に基づく活動でありますが、ボランティア活動も自主的な動機による活動であることから、生涯学習社会を推進していく上で、教育ボランティアの養成や活動の支援が求められております。生涯学習センターの事業面で、教育ボランティアに関する内容をどのようになされているのか、お伺いをいたします。 以上で第一問を終わります。 ○議長(中村誠一君) 市長。  (市長 大川靖則君 登壇) ◎市長(大川靖則君) 八番大井議員の御質問にお答えをさせていただぎます。 まず、第一番目の行政改革の大綱についてでありますが、行革大綱は、具体的には予算に反映させる等により推進をすることが第一と考えております。目標とする事項を絞ることが可能なものについては、大綱の内容を十分に整理をして、年次的とはいわず、即刻に推進をしてまいりたいと思っております。 既に、事務手続の簡素化のための大幅な事務専決規程を見直しし、事務事業の民間委託の推進、福祉・保健・医療の有機的連携としての健康増進課の設置、公用車の集中管理等を実施し、また、市の施設の使用許可申請の押印の廃止の検討などを行っているところでもございます。 次に、大綱推進の部署の設置についてでありますが、行政組織において、大綱を中心に行革を推進していく部署については、行革大綱の提言の趣旨等も踏まえて十分に検討してまいりたいと思っております。 次に、行政手続制度についてでございますが、行革大綱の推進事項でもあり、また、行政手続法の趣旨から当然、条例化が必要だと考えております。情報公開制度の導入を図るためにも、直ちにそうした制定について検討してまいりたいと思っております。 次に、市の政策形成機能総合調整機能の充実・強化についてでありますが、大綱の推進事項の一つであり、地方分権の推進また市行政の推進にとって、なくてはならないものと考えております。今後、組織・機構の見直しの際にも検討を加えてまいりたいと思っております。 次に、行革大綱の推進部門について、市長直属の担当部署として設置する考えはないかということでございますが、大綱は全庁的に取り組むべき課題であり、それぞれの部署において積極的に推進をしてまいるべきものであります。そのためには、既に設置しております行財政改善推進委員会を中心的な機関として進めていきたいと思っております。 行革の実施計画の策定についてでございますが、行革大綱は、平成八年度から十一年度までの四年間を推進期間といたしております。基本方針として、推進期間にかかわりなく即刻実施させることとしておりますので、予算編成に反映させることから実施をしてまいりたいと思っております。 次に、情報公開制度についてでありますが、市民の利用のしやすさを考えて総合窓口の設置に向けての検討を今、しているところでもございます。 また、文書の保存、閲覧のための公文書館的なものの必要性についてでありますが、現在、公文書のそうしたやかたの建設については考えておりません。しかし、阪神・淡路大震災の教訓として、文書を一カ所で保存することには非常に危険性があると思います。そのため、保存の安全性を考え、分散化を検討しているところでもあります。また、市民の閲覧の利用性を考え、その対応もあわせて検討させていただいております。 次に、子ども議会における要望、意見の実現についてということでございますが、子ども議会につきましては、子供たちによい体験であったと思います。したがって、議会の中でも、子供には子供らしい、その夢を抱かれているところも十分に見受けることができました。また、御指摘ございましたように、議会に対して子供ながらの関心が非常に高めてもらったものと思っております。そして、市の行政にも活発的な意見を出されております。そうした意見を大切にしながら、新年度予算に反映させてまいりたいと思っております。また、今後もこうした子ども議会の開催を続けてまいりたいなと、かように思っている次第でもございます。 次に、市職員のボランティア休暇制度についてでございますが、この制度につきましては、奈良市としても積極的に考えてまいりたいと思っております。 次に、納税意識の高揚のための税のハンドブックなどの作成についてということでございますが、税の使い道を透明化するとともに、税を知っていただく、また税を生かすと、そういうことで、去る十月には職員に対して「税を生かす」という標語を掲げ、また十一月には「税を知る」という、職員みずからそういうところに認識を持つような標語をさせていただいているということでございます。全戸配布についても、市民だよりの折り込み等によって市民の皆さん方にその辺、理解をしていただくように、税目ごとに年に四回ぐらい説明を加えた折り込みをさせていただきたいと思っているところでございます。 ちょっと順番が変わりますが、失礼いたします。 次に、行政改革大綱の行政情報伝達システムについてでございますが、高度な情報化が進展している現在では、いろいろなメディアを使った情報の伝達があります。電話やテレビ、ファクシミリのほか、昨今はパソコン通信やインターネットなどが大きく脚光を浴びているところでもあります。奈良市では、行政情報として、市民だよりや公報を初めとして、市民の皆さんや市にかかわりのある方々などへの発信すべき多くの情報を保有しております。そこで、少しでも多くの人々に即時性のある情報を的確に伝達することが行政の情報化推進による行政サービスの向上であると考え、現在、インターネットの導入方策についても検討をさせていただいているということでございます。 次に、環境基本条例及び生活環境保全条例についてでありますが、環境基本条例及び生活環境保全条例が県議会において審議をされており、基本条例は、平成八年三月に策定された奈良県環境総合計画に基づいて、基本的な理念や施策について規定した規範条例と伺っております。また、生活環境保全条例は、生活環境の保全にかかわる内容や廃棄物の資源化・減量化の推進、自動車排気ガスの抑制等の努力義務を盛り込んだものであります。奈良市といたしましても、現在、他都市の状況調査をしているところであり、平成十年度をめどに奈良市環境基本条例及び奈良市環境基本計画の策定を進めてまいりたいと思っております。また、生活環境保全条例については、平成九年四月一日に施行と伺っておりますので、施行に向かって考えていきたいと思っております。 次に、市制百周年記念事業についてでありますが、市民の公募アイデアイベントの推進状況でありますが、私は、常に申しておりますように、市制百周年は単なるお祭り事ではなく次の百年に向かっての出発点であると、こういう考え方のもとに、市民の皆様方とともに市制百周年を一つの記念事業にさせていただきたいと思っております。市民からアイデアイベントの公募をさせていただきましたところ、八十三件の応募がございました。そのうち十六件について採用をさせていただいておるということでありますが、私はすべて市民の皆さん方に参加をしていただくために、どの街角においても、どの街角の広場においても、そうした手づくりのイベントを展開して、市民の多くの参加をいただきたいなと、このように思っているところでございまして、実施に向かっては具体的な時期等の協議を今進めているところでもございます。 また、御提案ございました姉妹都市、そして友好都市の青少年による音楽祭の開催等についても、これもやはり、音楽は世界共通のものでもありますので、国内外の多くの方々にも参加していただいたら大変ありがたいなと、かように思っているところでございます。 次に、公的介護保険制度についてでありますが、まず、市の財政負担に関しましては、通常の徴収努力を行ってなお生じた保険料未納による赤字につきましては、都道府県に設置されます財政安定化基金から財政支援されるということになっております。 また、事務費に対する補助金につきましては、要介護認定事務に係る経費の二分の一相当額を国が交付することとなっています。しかし、まだ不透明なところもございますので、全国の市長会を通じてそういう報告がございましたら、またそれに対応して意見等も述べてまいりたいなと、かように思っているところでもございます。 また、介護保険料の分担についてでございますが、保険者が百分の五十、そして国が百分の二十五、県・市が十二・五ずつと、そういう負担割合になっております。 そして、保険財政の広域化については、これは奈良県下がそういう考え方を持つべきであるとも考えられますが、奈良市の人口規模からいたしますと、これは奈良市単独になっていくんではないかなと、このように思います。 次に、在宅介護支援センターの設置状況についてでありますが、現在、支援センターは本年度を含めまして十一ヵ所となります。ゴールドプランの目標は二十七ヵ所ということでありますので、それに近づけるべく努力を進めてまいりたいと思っております。在宅での生活を、この支援センターによって一人でも多く在宅で生活していただけるような、そういう制度でなければならないと、かように思っているところでございます。 そこで、音楽療法についてでございますが、音楽療法士を今、養成をいたしております。したがって、非常に厳しいスケジュールで専門的教養を、いわゆる千四十時間の単位を求めて今行っているところでありますが、これが来年三月に一応終了いたします。そうなりますと、四月からいよいよこの事業に取り組みをさせていただくのでありますが、その事業の方法といたしましては、一つは療法と、そして予防との二つの部門に分けさせていただきます。療法につきましては、特別養護老人ホームあるいは身体障害者福祉施設、そして予防につきましては、健康なお年寄りの方々に対しまして、いわゆる未然にぼけを防ぐと、そういう生きがいを求めた方法をとっていくべきであると。今、一つのテストケースとしてシルバーコーラスを実施させていただいておりますが、現在六百五十名の参加をいただいているような状況でもございます。さらに、こうしたものをもっともっと多く広めてまいりたいと、かように思っているところでございます。 次に、地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律でございますが、平成九年度以降の基本的な母子保健事業は市町村に一元化されることになります。つきましては、現在実施している母子保健事業と県より委譲される事業を平成九年度より実施するため、専門職員である保健婦、理学療法士、心理判定員を増員するとともに、医師会、歯科医師会等の協力と県の御指導を得て、保健サービスを一元的に提供できる体制の整備を図ってまいりたいと、かように思っております。 次に、シルバーハウジングプロジェクト事業の推進についてでございますが、事業の概要といたしましては、世話付住宅を三十戸建設する。そして、実施時期につきましては、平成十三年度事業着手と考えております。また、実施団地につきましては、紀寺団地で奈良市が八十八戸、県が百二十五戸、住宅公団が百十八戸ということでございますので、この紀寺団地に求めてまいりたいと思っております。現在、三者協議を進めているところでございます。 次に、リサイクルプラザ及び第二清掃工場の建設についてでございますが、リサイクルセンター建設につきましては、今、地元の方々の御同意をいただくために折衝に努めて、一刻も早く推進させていただきたいと思っております。 また、第二清掃工場につきましても、これは急務を要するものといたしますので、現在、その候補地の選定に当たっているところでございます。 次に、製造業者責任によるごみの適正処理についてでございますが、製造物責任によるごみの適正処理については、事業者は物の製造、販売等に際して、その製造が廃棄物となった場合には、その処理が困難にならないようにすることであります。本市の場合は、消火器や農機具等については清掃施設で処理できかねるので、製造業者並びに販売者に引き取っていただくようにいたしております。厚生省より適正処理困難物として指定されております大型テレビや大型冷蔵庫、スプリング入りマットレス、乗用車のタイヤの四品目につきましては、現在、全国的な対策協議会が設置され、そこにおいて業界と行政との間で適正処理体制の構築に向けて協議が進められております。奈良市もその協議の結果を見ながら、そういう対応をさせていただきたいと思っております。 また、販売業者に対する指導については、現在のごみ問題を解決するためには、行政が収集から処分まですべて行う従来の方法ではなく、市民や業者がそれぞれ役割分担を明確にしていただき、その責務に基づいて自主的な活動を推進していくことが必要であります。このことから、御質問にございました容器包装廃棄物の店頭回収も含めて、販売業者がみずから減量や再資源化の取り組みを強化していただくよう啓発に努めさせていただきたいと存じております。 以上でございます。 ○議長(中村誠一君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 まず初めに、生涯学習についての教育機関との連携についてお尋ねいただいているわけでございますけれども、高等教育機関につきましては、奈良市内には大学が国公立三校、私立三校の六校と短期大学が二校の計八校ございます。また、県内の大学等を合わせますと、全部で十六校になります。御指摘のとおり、生涯学習審議会の答申の中にも、生涯学習の振興のためには大学等の高等教育機関などとの幅広くかつ密接な連携、協力が必要であるというように述べられております。 そこで、生涯学習センターを建設することによりまして、独自の学習機会の提供、特に市内外の大学等との連携によって専門分野別の高度な内容の各種講座の企画や、あるいは実施が可能になるというふうに考えてございます。 次に、生涯学習情報提供についてでございますが、生涯学習情報の提供につきましては、市民にさまざまな学習情報を提供するために、コンピューターによります生涯学習情報提供システムを構築し、生涯学習センターを拠点に公民館等との、いわゆる社会教育施設とのネットワークにより対応してまいりたいと、このように考えてございます。 次に、教育ボランティアについてでございますけれども、このボランティアに関しましては、生涯学習センターの事業の一つとして教育ボランティアの人材の養成が求められております。したがいまして、これも生涯学習情報提供システムを活用することによって、市民に提供していけるものだというふうに考えてございます。 以上です。 ○議長(中村誠一君) 八番大井君。 ◆八番(大井国崇君) 二問目は自席より行わせていただぎます。 ただいま市長より、また教育長より私の質問の趣旨に沿った答弁をいただきましたので、要望は第三問で行うといたしまして、再確認を含めて教育長に一点だけお尋ねをいたしたいと思います。 ただいま教育長より生涯学習センターの運用、運営について答弁をいただきました。大学、短大など高等教育機関との連携に関してですね、今お尋ねをさせていただいてお答えをいただいたわけですが、生涯学習の中にぜひ、リカレント教育を取り入れていただきたいと思うわけでございます。 釈迦に説法かと思いますが、奈良市のような歴史とか文化あるいは自然が豊かな地域におきましては、生涯学習といえば、どうしてもですね、学習内容が歴史であるとか、文化であるとか、文化財、文学といったですね、カテゴリーに偏りがちになっていくのではなかろうかと思うわけでございます。そうしますと、どうしてもですね、時間的余裕のある高齢者が多く利用されることになりがちではなかろうかと。もちろん、こういう歴史とか文学とか文化財とかも大事でございますし、高齢者の利用も大いに結構なことでございますが、それだけに偏り過ぎると問題があると思います。やはり若い人にも利用をしていただかなければならないと思います。若い人の中には、学校卒業後ですね、就職して必死に働きながら、まだまだ学習したい、学習意欲を持っておられる方もたくさん、多いわけでございます。 例えば、大学時代、文化系の学科を修めたと。そして就職をされたと。しかしですね、今、文化系の学校の知識を生かしながら仕事をしているけれども、将来のことを考えると、コンピューター技術を若い間に勉強しておきたいとか、先端技術の知識も今の間に持っておきたいとおっしゃる方もたくさんいらっしゃいますし、あるいはまたですね、工業高校を卒業されて、今、おやじさんの工場を手伝っていると。しかしですね、おやじさんの後を継いで将来、会社を経営するという立場になることを思うとですね、やはり夜間とか休日を利用して、今の間に経営学を勉強しておきたいとかいうような意欲を持っておられる方もたくさんいらっしゃるわけでございます。 そういうことからですね、リカレント教育が必要ではないかと思うわけでございます。今までの青少年期という人生の初期に集中していた教育に対してですね、卒業後、働きながら、労働とか、あるいは余暇とか、いろんな活動を交互交互に交えながらですね、リカレントをしていくという教育で、OECDにおきましても大変注目をされておりますし、日本語で還流教育とか回帰教育と呼ばれているわけでございますが、このリカレント教育を取り入れていただきたいなと思うわけでございますけれども、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○議長(中村誠一君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 リカレント教育の必要性についてお尋ねいただいているわけでございますけれども、リカレント教育と申しますのは、学校教育を人々の生涯にわたって分散させようとする理念でありまして、生涯学習審議会の答申の中にも、高度で専門的かつ体系的な社会人の職業上の再教育であると述べられております。このように、生涯学習にとりましては、大変重要な部分を占めるというふうに判断をいたしてございます。大学等の教育機関によります公開講座の充実や出張講座の開設などが大きな要素になるというふうに考えてございます。さらに、企業等におきましても、有給の教育休暇制度の整備も必要でありまして、産・官・学が連携、協力し、実施しなければならないというふうに考えてございます。生涯学習センターにおきましても、今後、大学等の教育機関との連携、協力を得ながら、リカレント教育の振興に向けて努力してまいりたいというふうに考えてございます。 以上です。 ○議長(中村誠一君) 八番大井君。 ◆八番(大井国崇君) 第三間は要望にとどめておきたいと思います。 行政改革の大綱について、先ほど市長から御答弁をいただきましたが、この大綱はですね、種々のものを網羅しているとはいえ、やはり抽象的なものであると思います。毎年度の予算に反映をさせて、即実施、即推進をしていくと先ほど申されましたが、やはり短期決戦でできるものもあればですね、条件整備の上で可能なものもあるでしょうし、長期にわたって徐々に行っていく等々ですね、多種多様であると思います。 そこで、私が九月の定例会におきましても主張いたしましたが、やはり年次別のですね、目標設定、ターゲットを設定する、そして年次的に数値化、数量化できるものは数量化をしてですね、進めていただきたいなと、このように要望をしておきます。 それから、行政改革大綱を推進する、統括する部署の設置でございますが、やはりですね、行政改革の推進においては、行政の長のですね、強い意志と強いリーダーシップが必要でございます。さもないと、これは画餅に終わると思います。やはり、そういうことから、市長直属でですね、設置されてはどうかなというように思うわけでございます。これもひとつ要望しておきたいと思います。 それから、市職員のボランティア休暇についてでございますけれども、国家公務員の実施内容をですね、よく研究する、精査すると申されましたが、ぜひ鋭意検討いただきましてですね、ボランティア休暇中のアクシデントなどをどう防止するかというようなことも含めまして、ぜひ検討いただいてですね、早期に制度確立、早期実施をお願いしたいと思います。国家公務員ボランティア休暇も歓迎でございます、賛意を表するところですが、やはり地域住民に直結されている地方公務員の方々のですね、ボランティア休暇の方が、より市民に密着をして効果が大きいのではないかと期待をするところでございます。これも要望にしておきたいと思います。 それから、子ども議会で出された要望についてでございますが、ぜひひとつ、先ほども申されましたように、平成九年度の予算に入れられるものは極力入れていただいてですね、実施をいただきたいなと思います。もし、実際に予算化がなされて、そして、その子供たちの要望が現実の姿として実現されれば、子供たちも大変大喜びするだろうと思います。一つでも二つでも、ぜひひとつ実現できるようにですね、御努力いただきますよう重ねて要望しておきたいと思います。 それから、私が一つのアイデアとして提案いたしました市制百周年記念事業の姉妹都市・友好都市の青少年や子供たちによる民族色豊かな音楽祭の開催についてでございますが、前向きな御答弁を評価するところでございます。あと一年余りと、時間的な余裕も余りありませんので、早期にひとつ企画立案をいただくように要望しておきたいと思います。 それから、市制百周年に関連してでございますが、これは全く先ほどの話と別の話ですが、たしか私の記憶するところではですね、市制百周年を迎える平成十年までにですね、まだ市として決めていなかった奈良市の木と花と鳥をですね、決める方針であったと思います。多くの都市を訪問させていただきましても、市の木がですね、立派に茂って、立ち並んだ街路に出くわすことがよくございますが、市のシンボルとなる市の木と花と鳥のですね、早期制定もあわせましてですね、関連して要望しておきたいと思います。 それから、音楽療法士のことについてでございますが、音楽療法士が来春、資格認定試験を経て誕生されます。先ほど御答弁で申されたような活動の場でですね、高齢者のケァに貢献をしていただきたいと思いますし、またですね、将来、地方分権特例制度、いわゆるパイロット事業でですね、構想されていますシルバー健康センターでですね、この音楽療法士の方々が存分の活躍の揚が提供できるようにですね、推進していただきたいというように念願をしますし、先ほど私、質問の中で触れましたシルバーハウジングプロジェクト事業のLSAですね、ライフサポートアドバイザーなどとの連携で、高齢者が安心して、生き生きと生活する現場で活躍ができるようにですね、配慮いただきたいなと、かように思います。 また、環境清美関係でございますが、先ほど市長の答弁の中で、第二清掃工場の建設あるいはごみ減量・リサイクルに関してですね、いろいろ選考を含めて取り組まれておるということでございますが、クリーン・リサイクルタウンの選定を受けてですね、さらなる事業の推進に取り組んでいく必要があると思いますので、我が党も常々提唱してまいったところですが、本市のリサイクル事業の推進拠点となるリサイクルプラザの早期建設とですね、事業推進を重ねて要望をしておきたいと思います。 なお、決算関連を含めて詳細につきましては、後刻、設置されます決算特別委員会でですね、同僚の議員からお聞きすることといたしまして、これで私の質問を終わらせていただきます。 長時間ありがとうございました。 ○議長(中村誠一君) 議事の都合により暫時休憩いたします。  午前十一時二十分 休憩  午後一時二分 再開 ○議長(中村誠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。--------------------------------------- ○議長(中村誠一君) 代表質問を続行いたします。 十番松村君。  (十番 松村和夫君 登壇) ◆十番(松村和夫君) 私は、社会民主党奈良市会議員団を代表して、通告いたしました数点について、大川市長の御見解を伺いたいと思います。 市長初め関係各位が奈良市制百周年を記念する取り組みの一つとして、東大寺や春日大社などとともに、春日原生林も含めて世界文化遺産に登録すべく努力をされていることについて敬意を表してきているところであります。 御承知のとおり、春日山原始林は、大正十三年、一九二四年十二月九日に天然記念物に、さらに昭和三十一年、一九五六年二月十五日に世界的に価値が高いという理由で特別天然記念物に指定されました。都会に隣接し、しかも百ヘクタールに及ぶ面積の照葉樹林がほぼ原始的な状態で保存されている例は、ほかにありません。民族の遺産である春日山原始林は、平城京、さらにその昔、我々の祖先が奈良の地に住み着いてから奈良の歴史とともに歩んできた森林であります。これまで、春日山原始林を守る取り組みは、当時の奈良女子高等師範学校の岡本勇治先生を初め、多くの識者が努力されてきたと聞いています。春日山原始林の一層の保護に向けて、文化庁あるいは環境庁、奈良県や奈良市、春日大社など関係機関、あるいは市民が一体となって積極的に保護策を講じ、子々孫々、連綿と継承していかなければならないと思います。 しかし同時に、奈良市においては、春日山原始林だけでなく、市内の各地に点在する鎮守の森や、地域住民に安らぎと潤いを与えている巨樹、古木など、市民と行政が一体となって奈良市域に残された良好な自然環境を保全・保護していくことが奈良の歴史的景観を守り、風格のあるまちづくりにおいて極めて重要なものと考えます。今後の保護・保全対策について市長の御所見を伺いたいと思います。 次に、行政の効率化と労働衛生について伺います。高齢者雇用の促進は、二十一世紀の日本の社会の重要な課題の一つであります。御承知のとおり、活力ある高齢社会を構築するため、高齢者が六十五歳まで働くことができる雇用システムを確立することは社会全体の課題であり、本年七月に閣議決定された高齢社会対策大綱においても、六十五歳までの継続雇用の推進を国全体の基本方針として掲げられています。既に、民間労働者を対象とする雇用保険法は平成七年四月一日より改正され、働く能力と意思のある高齢者について六十歳から六十五歳までの雇用の継続を援助、促進するため高年齢雇用継続給付制度を新設し、高齢者雇用の拡大を図っています。 人事院が実施しました国家公務員の六十歳代前半における就労・生活等意向調査によりますと、就労希望年齢は六十五歳以上とするものが七割に達しているとのことであり、高齢期において高い就労意欲を示されています。今や、社会的合意として六十歳代前半の就労は当然と考えられています。同時に、御承知のとおり、年金支給開始年齢が二〇〇一年、平成十三年から三年ごとに一歳ずつ引き上げられることになっており、最低限、雇用年齢と公的年金の支給開始年齢を連動させなければならないと思います。年金支給開始年齢が六十五歳に繰り延べられることから、少なくとも、希望する者全員が雇用保障されるかどうかは、高齢者の暮らしと命にかかわる極めて重要な事項であります。 民間企業においても、厳しい経営環境の中にあって、高齢者雇用の拡大への取り組みが行われています。自治体など公務員職場においても、六十歳定年以降、公務における雇用の継続と拡大が図られなければなりません。奈良市としても、職域の開拓や拡大で、働く意欲と能力のある高齢者を広く雇用する環境をつくり、実質的に、希望者全員雇用を図る必要があると考えますが、市長の御見解を伺いたいと思います。 また、奈良市職員の高齢者雇用の現状を伺うところによれば、市の職域で、あるいは奈良市の関係する外郭団体などを通じて、六十五歳までの雇用確保や雇用継続を図られているとのことであります。しかし現状では、その大多数が部課長経験者でほぼ独占されており、部課長経験者以外には、なかなか割り振られていないと聞いています。これでは、時代の要請にこたえる対策とは言えず、すべての高齢職員を対象にするものでなければならないと思います。御承知のとおり、民間企業の雇用情勢が極めて厳しい中にあるからこそ、公務における高齢者雇用制度の姿を明確に示しながら、社会全体の高齢対策を確実に促進していかなければならないと考えています。市長の御見解を伺いたいと思います。 通告しています人事異動の質問に入る前に、ケチケチ運動について一言触れておきたいと思います。奈良市の厳しい財政状況にかんがみ、事務事業の総点検を行い、物、人、時間等あらゆる分野におけるケチケチ運動を全庁的に推進し、経費の節減等予算及び事務事業の効率的、能率的執行を図るため、職員一人一人の強い決意のもと、職場ぐるみの運動としてケチケチ運動を推進するため、庁内で検討作業を進められてきたとのことであります。このたび、その検討結果を奈良市ケチケチ運動推進に関する提言として発表されました。この運動によって、経費の節減等予算及び事務事業の効率的、能率的執行を図られるならば歓迎するところでありますが、提言を読みますと、職員の労働条件にかかわる事項が多く含まれており、職員組合との十分な事前協議が必要ではないかと思います。 踏み出したばかりであり、今批判するつもりはありませんが、観念的な規範を列挙するだけでなく、提言の各項目を実行することによってどれだけの経済効果があるかを具体的に数値で示し、検討されることが必要ではないかと考えています。公務員の仕事は何かといえば税金を使うことである、税金を使うからにはそれをどのように使ったかを税金の出し手たる市民にちゃんと説明しなければならないと、公務員には説明義務があるとの指摘があります。私はまさにそのとおりだと思います。釈迦に説法であるかもわかりませんが、そしてまた、おこがましい言い方になるかもわかりませんけれども、管理者を含め職員一人一人が市民に対し説明義務を負っていることを認識し、行政の執行に当たることが求められていると思います。 さて、通告いたしました人事異動について伺いたいと思います。私は昨年の四月に初当選をし、議員としてこの間、市職員の皆さんと親しく接してきたところであります。これまで私は、主として民間中小企業労働者と接触してきたわけであります。その経験から、地方公務員には極めて多角的な能力と職場への卓越した適応能力を持つ者でなければ務まらない職場であると実感してきたところであります。精神衛生上あるいは労働衛生上、極めて過酷な職場であるとも思います。 御承知のとおり、中小企業では転職する労働者が多く、平均勤続年数は大企業に比べて極めて短いのが特色であります。理由があって転職するわけですが、ほとんどの労働者は、これまでの経験や技能、知識を活用できる職種や業種の企業に転職しているのが実態であります。それは何ゆえかといいますと、これまでの経験や技能、知識の蓄積を生かさなければ即戦力としての仕事の求めに応じられないからであり、同時に、全くの異業種への転職が労働衛生上、大きなストレスとなるからであります。 私の経験から考えまして、現状の人事異動のあり方には、労働衛生上あるいは精神衛生上、大きな問題を含んでいるのではないかと危惧をしているところであります。地方自治体には、あらゆるジャンルの職種があり、それぞれ市民要求との接点を持ちながら、多種多様な対応を求められていることと思います。したがって、多種多様な職種の行政経験を積み、能力を身につけ、知識を蓄積することは、当然求められることだと思います。また、人事異動によって昇進していくシステムであることも承知をしています。しかし、一般的に民間労働者の転職が経験や知識、能力の蓄積を生かした転職となっていますが、地方自治体の職員の人事異動は、経験や知識、能力の蓄積を異動先の職場でも十分に活用できる異動とは言いがたいケースが多くあるように思います。 奈良市ケチケチ運動推進に関する提言の中においても、職員の意識、能力が十分に把握されていないため、適材適所が不十分であり、職員のやる気・能力が十分活用されていない。あるいは、現在の人事異動は、職員の意思が反映されていないため、職員の能力が配属先に生かされておらず、職域の固定化や職員の意欲低下の原因になっている。また、女性職員の能力が生かされていない、などと現状の問題点を指摘し、一定の改善策を挙げています。 具体的な改善策の提起については、私の関与するところではありませんが、職員組合と十分に協議されることを望みますが、職員に採用されてから定年退職までの間に何回も全くの異業種に転職するような人事異動は、労働衛生上、大きな問題を持っているものと思います。一般的に、中高年労働者になればなるほど、これまでの経験や知識を重視した労働によってその能力を発揮するものであり、新しい知識を身につけたり、新しい能力の開発には時間を要すると言われています。人間の生理的な適応能力には個人差はあるものの、相対的に、中高年になれば適応能力が低下することは避けられないとのことであります。 したがって、自治体には数え切れないほどの職種と職場がありますが、行政遂行上、必要な職種群に分類し、中高年職員の異動は、これまでの経験や知識、能力の蓄積を生かせる職種部門間の異動とし、全くの異業種への異動は適応能力の高い中堅職員までに限られるべきではないかと思います。異動において経験や知識、能力の蓄積を生かせないならば大きな損失となり、ケチケチ運動の考え方に反するものと思います。市長の御所見を伺いたいと思います。 次に、福祉のまちづくりについて伺いたいと思います。奈良県福祉のまちづくり条例が本年四月から施行されたところでありますが、これに基づいて奈良市の整備計画を伺いたいと思います。奈良市障害者福祉基本計画において、福祉のまちづくりを推進するために基本方針として、障害者が社会生活を十分に営めるように建物、道路、交通手段等行動環境や施設を整備することにとどまらず、人的な面からも地域に根差した福祉体制の確立を図るとしています。 そこで、課題は多くの分野に及ぶところでありますが、ここでは道路、交通手段等行動環境の整備について伺いたいと思います。 福祉のまちづくり条例に基づいて奈良市管理の道路及び歩道の改善を要する箇所はどれだけあるのかとの我が党の松石議員の九月議会での質問に対し、大川市長は八百ヵ所あると回答され、これの改善に向けて別枠の予算も考えなければならないと答弁されていますが、いつまでに改善をされるのか、改善に向けた年次計画を伺いたいと思います。 次に、電車・駅舎の整備について伺います。県外ではありますが、つい最近の新聞に報道されていましたけれども、障害者が踏切事故に遭い、命を失われています。JRには、奈良市域において京終あるいは帯解など無人駅があります。障害者が安心して利用できる駅となるよう事業主体に整備を申し入れるとともに、奈良市としても改善に向けて必要な措置を講じることが求められています。 また現在、近鉄線においても構内踏切の解消を図るべく駅の改修を進めているところであると聞いています。JRや近鉄線における踏切について改善を必要とする箇所がどれだけあり、改善の緊急度に応じた年次計画があるのか、伺いたいと思います。 次に、近鉄西大寺駅など乗りかえ駅、あるいはエスカレーターはついているがエレベーターのない駅、あるいはエスカレーターもエレベーターもない駅などについて、奈良県住みよいまちづくり基金を活用するなどにより、近鉄など事業主体とともにエレベーターやエスカレーターの設置に向けて年次計画を立て、設置されるよう求めたいと思いますが、御意見を伺いたいと思います。 次に、リフトつきのバスが二台導入されてから一年が経過しましたけれども、このモデル事業についての評価、見解を伺いたいと思います。リフトつきバス路線は、車いす利用者の継続的な利用が進んでいないと聞いています。時たま利用する障害者に聞きますと、急ぐときはバスに乗らず、急がないで時間があるときには利用するとのことであります。現状では、運行状況や乗降場所の確保など、さまざまな条件整備が必要と考えられますが、障害者や高齢者の福祉・文化施設、福祉住宅等、交通アクセスを早急に整備する中で、リフトつきバスをその路線に走らせるなど、年次計画を立て、拡充を図られるよう求めたいと思います。もちろん、リフトつきバス路線の導入は事業主体で決定されるべきものでありますけれども、奈良市としてもどのような考えを持ち、対応されているのか、伺いたいと思います。 また、小回りのきくタクシーにもリフトをつけさせるように、とりわけ大手のタクシー会社に対してリフトつきタクシーの設置を強く要請されたいと思います。現在、県下では近鉄タクシーと飛鳥タクシーに導入されていますが、運輸省近畿運輸局の見解として、リフトつきタクシーの整備は料金アップとあわせサービス向上に包含されているものと回答し、その設置をタクシー協会に指導しているとのことであります。リフトつきタクシーの導入は事業主体で決定されるべきものでありますが、奈良市としても業界にその設置に向けて強く働きかける考えはないか、伺いたいと思います。 次に、九五年度決算と新年度予算編成方針について伺いたいと思います。我が国の経済は、総じて景気の長期低迷が続く中、十一月の政府月例経済報告によると、景気は回復の動きを続けている。そのテンポは緩やかなものであるものの、民間需要は堅調さを増しているとされております。しかしながら、雇用面では完全失業率が高い水準で移行を続けるなど不透明な状況が続いており、景気の先行きは依然として厳しく、今後も急激な回復は望めない状況にあります。 かかる状況のもと、本市の財政状況も、既に多くの議員から指摘されていますように、極めて厳しい状況が続いております。市長は先日、新年度予算編成に当たって、明年度も経常経費の一〇%マイナスシーリングを実施されることを明らかにされました。本定例会に提案されております九五年度決算は、以下の予算編成に基づき編成されたと聞き及んでおります。すなわち、奈良市新総合計画に基づき、二十一世紀に向けた「歴史と自然と生活文化が織りなす、創造と交流の世界都市--奈良」を将来都市像とする重点施策、積極的な推進を図る。二、社会情勢の変化、多様化する行政需要に対応した施策を展開し、市民福祉の向上に努める。三、引き続き行政全般にわたって、既存の施策・制度を根底から見直し、優先順位の厳しい選択、経費の一層の節減合理化に努め、長期的視野に立った効率的な行財政運営を推進する。四、人件費、扶助費、公債費を除く経常経費については、原則的に前年度、九四年度当初予算から一〇%を削減した金額の範囲とする、との方針で編成された九五年度予算は、今議会に提案されている決算の数字を見る限りにおいて一応の黒字決算となりました。 しかしながら、その内容は既に明らかにされていますように、財政構造の弾力性を示す経常収支比率において前年度を〇・七ポイント上昇しており、都市の場合の妥当な数値とされている七五%を一八・六ポイントも超え、さらに、八〇%を超えると弾力性を失いつつあると考えられている数値をも超えていることは、まことに憂慮されるところであります。 そこで、市長にお聞きいたしますが、九五年度決算の状況について市長の所見をお聞かせいただきたいと思います。 次に、九五年度決算における一般会計の黒字の要因は、財政調整基金からの繰り入れによるものであると言われております。財政調整基金の処分に関しては、その条例の第七条に規定されているとおり、経済事情の変動その他の事由により財源が不足するときにできるとなっています。 そこで、市長にお聞きいたしますが、九五年度決算における財政調整基金の取り崩し額と現在高、及び今後の運営の考え方についてお聞かせいただきたいと思います。 質問の最後に、女性が働き続けられる環境整備について質問をする予定でありましたけれども、意見を述べ、積極的な施策を実施をいただくようにして、要望にかえたいというふうに思います。 近年、経済構造の変化、技術革新に目覚ましいものがあります。同時に、ライフスタイルの変化等により、女性の就業意識の変化や就業形態の多様化などが相まって、働く女性の数は大きく増加し、労働者の、全労働者の四〇%近くを占め、今日、日本経済は女性労働者抜きにしては成り立たなくなっています。男女雇用機会均等法の施行、労働基準法の改正、育児休業法の制定、パートタイム労働法など、一連の労働関係法規が整備されつつあり、女性の就労を取り巻く環境も変化してきています。 しかし、新規学卒者の就職は極めて厳しい状況にあり、女性雇用労働者は中小企業に多く、パート労働、派遣労働など不安定就労に集中しており、雇用条件の男女間格差は、賃金を初め、依然として大きなものがあります。また、技術革新、情報化、国際化が進む中での労働と、生活のリズムの変化や疲労は、新しいタイプの肉体的、精神的な健康問題を生み出し、母性保護の観点から新たな対策が求められています。 女性の就労を取り巻く環境の変化と課題に対応するためには、労働時間の短縮や雇用から退職に至るあらゆる段階での機会均等、育児や介護に対する社会的支援の充実を制度的に保障することが必要であり、女性が安心して働き続けられるような環境をつくることが強く求められています。 一方、高度経済成長期以降、家族形態は著しく変化し、核家族化、家族の小規模化が進んでいます。従来の大家族に備わっていた育児、教育の機能、介護の機能が低下をしてきているため、家族を支え、家族により支えられてきた地域社会の衰退、家族一人一人の孤立化も指摘されています。これに伴い、育児や児童に対する家族機能を補完する社会的支援システムの整備が強く求められています。 そこで、御承知のとおり、労働省はファミリーサポートセンター事業の推進を行っています。ファミリーサポートセンターは、仕事と家庭を両立できる環境を整え、勤労者家庭の福祉の増進を図ることを目的に平成六年に始まった労働省の支援事業であります。それは、子育ての援助をしたい人と援助を受けたい人がグループをつくり、センター事務局をその橋渡し役として、会員同士が一時的、突発的、臨時的な子供の世話を有料で援助し合う組織であります。 女性の社会参加が目覚ましく発展している今日、子育てをしながら働く女性の保育に対する要求は年々多様化し、その需要もますます高まっています。しかし、奈良市でも保育園入所待機児童は四百八十人もいる状況であり、その現状では、それらの女性を取り巻く保育環境は、まだまだ多くの課題を抱えていると言えます。 社会民主党奈良市議団の調査によりますと、既に全国の七都市において事業が実施されており、それぞれ多くの会員が参加し、施設保育や育児休業では対応できない、さまざまな保育需要に対応して、大きな成果を上げられています。この事業は、労働省の補助率も高く、少ない職員と小さな事業費で運営され、多くの会員に活用されており、奈良市においても早期にファミリーサポートセンター事業を実施されるよう要望しておきたいと思います。 以上、社会民主党を代表しての第一問を終わります。 ○議長(中村誠一君) 市長。  (市長 大川崎則君 登壇)
    ◎市長(大川靖則君) 十番松村議員の御質問にお答えをさせていただきます。 まず、春日原始林と保護対策についてということでございます。まちの真ん中に原始林があるというのは、これは全国あるいは世界的にもまれなものであると、それだけ私は一つの誇りに思っているところでもございます。したがって今、世界文化遺産登録に事業の取り組みをさせていただいておりますが、ひとつこうしたものも、ぜひともひとつ取り入れていただきたいなと、そういうふうに、そして世界の人々がそれを守っていくように、そんなふうに思っているところでもございます。 また、市内の巨木の保護・保全につきましては、これも本当に大切なことでもございます。東京都に参りますと、各家庭の巨木についても登録をされているというようなことも聞いておりますし、また、私ところの姉妹都市キャンベラ市におきましても、庭の木一本一本まで登録をされていると、そして、それを伐採する場合には届け出をしなきゃいけないと。私はそこまでは考えてはおりませんけれども、やはり木を大切にする、巨木というものは本当に市民の心をいやすものでもあり、そんな点から考えてみたら、やはり大切に保護していかなけりゃいけない、また保全をしていかなければいけないと、そういうふうに思っておるところでもございますので、今後また、いかに進めるべきかということも検討させていただきたいと思っております。 次に、行政効率化と労働衛生について、六十五歳までの雇用対策ということについてでございますが、高齢者雇用につきましては、高齢者の生きがいと、そして就労意欲の能力を生かすためにもやはり就業していただくこと、また、高齢者が持っておられる技術あるいはいろいろな知識もございます、そういうものもやはり伝承していかなけりゃいけないというふうにも、これも大変必要なものであるかと、このように思います。したがって、そういうことの就業についての対策等については、大きなひとつ課題として検討させていただきたいと思います。 また、市の職員の定年後のあり方につきましても、部課長だけということじゃなく、やはり、その働く場所、これをひとつでき得れば大いに活用させていただいたらどうかなと、こういうふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、ひとつの制限枠もございますので、その辺、苦慮いたしているところでございます。 次に、人事異動のあり方についてということでございますが、私は、市の職員は常に職員一人一人がプロでなければいけないと、どの職場についてもこれはやっぱしなしこなせるよう、また対応できるような、そういうものでなければいけないということを常に申しております。もちろん、人事異動のときには適材適所の配置はさせていただいておりますものの、やはりどの部署に行っても自分はその仕事ができると、また、これから幹部になっていく上においては、やはり何といっても、ある程度の経験がなかったら、これはいざというときの指導力を失ってしまいますので、その辺については、まあひとつ私に任せといていただきたいなと、こういうふうに思います。 それから、技術職とか専門職につきましてはね、適材適所にさせていただきたいなと思っております。 次に、福祉のまちづくりについてでございますが、歩道の段差解消については、御指摘ございましたように、八百ヵ所ございます。平成七年度より段差の解消計画を立てて、七年と八年度で約百十ヵ所を改善いたしております。あと残りにつきましては、計画的に、平成十二年度には完成すべく、その取り組みをさせていただきます。また、県道の箇所も非常に多いものでございますので、県にもそういう申し出をさせていただきたいなと、かように思っているところでもございます。 それから、鉄道の踏切改善について年次計画、あるのかどうかということでありますが、JRと近鉄を含めて約七十ヵ所の踏切がございます。このうち、十二ヵ所については、改善をすべく鉄道側と協議を進めております。また、統廃合等の難しい問題もありますので、踏切事故防止のためには改善に努力をして、早く改善しなけりゃいけないものについては鉄道側と協議を進めてまいりたいと思っております。 また、駅のエレベーターの設置についてでありますが、乗降客の多い近鉄西大寺駅など駅舎のエレベーターの設置につきましては、事業主の計画に合わせて奈良県住みよい福祉のまちづくり施設整備促進事業の活用を考えに入れて、障害者、高齢者を含むすべての市民が安心して乗降のできるような、そういうまちづくりを積極的に推進する上においても、助成の方向に向かってまいりたいと思っております。 それから、リフトつきバスの運行についてでございますが、平成七年十月より奈良交通バスの市内循環内回りの線において運行開始をいたしております。この路線につきましては、十八ヵ所の停留所があり、現在十一ヵ所の停留所に車いすが乗りおりできることといたしております。本年度末をめどに、さらに二ヵ所の停留所を改良してまいりたいと思っております。今後、奈良県、奈良県警察本部、奈良交通とともに、市内循環内回り線の停留所において車いすが乗りおりできるように整備を図ってまいりたいと思っております。 また、リフトつきタクシーにつきましては、その利用状況等もございますが、ひとつ事業主の奈良交通タクシーにももっと働きかけて、一台でも多くこのタクシーをつくっていただけるように、リフトつきタクシーの増車をしていただくように、またタクシー協会にも強く要望をさせていただきたいと思っております。 次に、九五年度の決算についてということでございますが、平成七年度の決算につきましては、一般会計では、実質収支が十四億八千八百六十八万の黒字結果になってございます。御指摘の経常収支比率におきましては、景気の低迷による市税の伸び悩みや、国の景気浮揚策における地方単独事業の整備による市債の活用等、これら複合的な要因により、比率が数年来上昇しているのは事実ではございます。今後、新年度予算編成におきましても、こうした点にも十分に配意しながら、効率的、重点的に、財政運営に努めてまいりたいと思っております。 次に、財政調整基金のことでございますが、平成七年度決算では、都市基盤整備と市民福祉の向上のために二十億円の取り崩しをさせていただきました。その結果、平成七年度末では十九億九千万円となり、その後、七億六千万円の積み立てをすることによって、現在高は二十七億五千万円となっております。今後、この財政調整基金の趣旨に従って取り崩しを行うことに十分心がけ、また、適正な財政配分に向かってまいりたいと思っております。 以上でございます。 ○議長(中村誠一君) 十番松村君。 ◆十番(松村和夫君) 二問目は自席から行いたいと思います。 春日原始林初め、市内の鎮守の森、あるいは点在します巨木等について、どのように保存をしていくかについて、これから研究をし、保護策に向けて早期に取り組みたいとの考え方が表明されました。大変いい方向に向かっておるというふうに思っておりまして、ぜひ早期にそういった保護策を立てていただきますように、再度お願いをしておきたいというふうに思います。 いろいろ二問目、要望させていただこうと思っておったんですが、いわゆる環境の問題で少し触れておきたいというふうに思います。別にそごう百貨店に私、恨みも何もないんですが、奈良市の車での玄関口といえば、やっぱり阪奈道路からの進入してくる大宮通りだと思うんですね。ところがですね、あのそごうの周辺に来ますとですね、いわゆる街路樹は夏場では真っ赤にやけて、一本も生えてないんですね。ところが、そごうの敷地内の樹木はですね、春は桜が咲いて、あるいは五月か六月にはサツキがきれいに咲くんですね。ところが、その前の街路樹なり、あるいはその下の生け垣というのは、現状でも見ていただいたらわかりますとおり、草ぼうぼうで一本も茂ってない、一本もついてないんですね。私はやっぱり、私きょうも私の前の道ですね、落ち葉掃除もしてきたんですけどね、これはどこの家庭でも、私は、自分の門先の掃除というのは自分たちでしておられると思うんですね。そしてまた、ちょっとそこに木があってすれば雑草を引いたり、あるいは水をやったりして管理をしているというのが一般的な地域の事情ではないのかなというふうに思います。 ところがですね、やっぱり奈良のメーンストリートであります、そしてまた一流百貨店でありますそごうの周辺はですね、御承知のとおり、日曜日なんかは、まさにそごうがその周辺道路を使っているぐらいの状況でありますけれども、草ぼうぼうでですね、あれでは私、幾らいろいろな施策を講じても、やっぱり自分たちの周辺は自分たちで環境を維持する、そういった考え方がなければ、何でもかんでも行政にやってもらうという考え方はですね、私はあんまりよくないなというふうに思います。まあそういう意味で、別にそごうに文句言っているわけではないんですが、あれは県管理の道路だと思うんですね。だから、奈良市管理の道路ではないから、そういったところにあんまり目が行かないのかどうかわかりませんけれども、やっぱり全体的な市域の美観を守るには、だれかがコントロールしなけりゃならんのではないのかなというふうに思っています。 まあそういうことからしますとですね、奈良市の道路管理課がやるのか、公園緑地課がやるのかどうかはよくわかりませんけれども、やっぱり自分ところの管理の対象ではないけれども、県なり国なりが管理であれば、そこにちょっと草刈ってよという話もしてもいいんではないかなというふうに思ったりもしますし、もちろん、ちょっとそごうの方にですね、そんな毎日草刈りせんなんほどのことでもないし、毎日水やりをするほどのことでもないわけですから、ちょっと協力してくださいよという話を私はしてもいいんではないかなというふうに思っています。 一度、理事者の皆さんもそごうの周辺回っていただいたらですね、どれだけ草が生え、どれだけ汚いか、私は本当に情けないながら、そういう余りにも、そごうの敷地とその隣とほん二、三メートルしか離れてないのに、あれだけの対比ですね、私、極めて寂しい思いをしておったんです。まあここで言う話かどうかわかりませんけれども、そういうふうに思います。 何を言っているのかわかりませんが、そういうふうに、美観に関しては、やっぱり地域の人たちが日常やっているようなことを企業もやっぱりやらないかんのではないか。ほかの企業はたくさんやられておるんですね、実際問題は。ずっと見渡しますとですね、奈良市役所の玄関のところの街路樹の下の植木も真っ赤に枯れてます。草も生えてます。そごう、その二つぐらいですよ、あんまり手入れできてないのは。あとは民間企業の皆さん、皆やっぱりされているんですね。だから、そこら辺は、私はそういうふうに、まあ何でもかんでも行政に求めんと、もう少し市民がですね、普通の感覚で自分の周辺を清掃しているように、清掃される方がいいんではないか、そういうようなことを求めていった方がいいんではないかというふうに--まあ求めるべき問題ではないと思うんです、当たり前の話だと思うんですけどね、そういうふうに一つは思います。 それから、財政のことなんですが、後日、決算委員会で同僚の黒川議員が委員として質問をしますので、今、市長がいろいろ答弁いただきました件につきましても別途お聞きをさせていただきたいと思っています。 それともう一つは、人事についてですね、私、決して注文をつけているわけではないんですが、私の、県庁の職員なんですが、私の同期の人がですね、大変優秀な方であったんですが、異動に伴って、優秀な方であればあるほどですね、そしてまた極めて彼はまじめだったもんですから、できるだけ早くその職場に適応したい、そして一人前になりたいということで随分頑張ったと思うんですね。ところが、不幸にして脳梗塞で倒れてしまったんです。一年ほどのリハビリで職場復帰をしたんですけれども、やっぱり、どういうんでしょうか、自分の能力を十分発揮できないということで--なのかどうかはよくわかりませんが、自殺をしてしまったんですね。私は、もう少しそういったことで、自分のこれまで培ってきた経験を発揮できるような職場に転職というか、異動をしておれば、そう大きなストレスがたまらなくて、そしてまた能力を発揮できて、命をみずから閉じなくても済んだのではないのかという思いがありましてですね、今申し上げたんで、決して、市長が私に任せというような、私、一切そこら辺についてどうのこうの言っているわけでは決してありませんので、そういう思いから先ほどの質問をさせていただいたわけです。 いろいろ申し上げたいことたくさんあるんですが、第二問、意見を述べて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ○議長(中村誠一君) 以上で代表質問は終わりました。 引き続きまして、質疑並びに一般質問を行います。 一番榧木君。  (一番 榧木義秀君 登壇) ◆一番(榧木義秀君) 私は新人議員としてまだまだ未熟でありますので、先輩議員諸兄の御指導を賜りますよう、また市長を初め理事者の皆様方の一層の御支援と御協力をいただきますよう、まずもってお願い申し上げます。 私は、通告いたしております二点について、関係部長にお尋ねいたします。何分、本会議での質問は初めてでありますので、ぶしつけな質問になろうかと思いますが、お許し願いたいと思います。 まず第一点目は、南部老春の家の建設についてでございます。本年九月、総務庁は、我が国の高齢化率は一五・一%で、国民の六人に一人が六十五歳以上の高年者になったと発表しました。また、本市の場合も、全国平均を下回るとはいうものの、年々高齢化は進み、ことし九月時点で二二%となっております。先進国の中にも、スウェーデンの一七・五%やイタリアの一六・四%、イギリスの一五・七%、ドイツの一五・二%、フランスの一五%など、日本と同じような、あるいはそれ以上の高齢化率となっている国は少なくありません。 しかし、これらのヨーロッパの国々では、このような高い数値を示すようになるまでには百年、百五十年という長い期間を要していたのに比べ、我が国の場合は、わずか三、四十年で現在の高齢化率になっております。少子化の進行と相まって、このままのペースでいくと、十数年後には超高齢社会と言われる高齢化率二一%を超え、スウェーデンを抜いて、先進国では世界一の高齢化率になることが確実視されております。 ヨーロッパのこれらの国々は、百年も百五十年もの長い期間を経て今日の高齢社会を迎えていることもあり、その長い年月の間に、それぞれの状況に見合った社会保障制度やいろいろな対応策が講じられてきておりますので、今現在、これらの国々では、高齢化の問題が国を挙げての大問題とはならず、また、今後も急速な高齢化の可能性は少ないものと思われますが、我が国の場合は、世界に類を見ないスピードで高齢化が進んだため、その対応策が極めて不十分で、今後も高齢化のスピードは衰える兆しもなく、国の将来にもかかわる最も重大な社会問題となっております。 こうした状況のもと、今、国を挙げてこうした問題に早急に取り組むべく、新ゴールドプランのもと精力的な対応がなされておりますことは、周知のとおりでございます。 本市においても老人ホームの建設などハード施策のみならず、二十四時間巡回型ホームヘルプサービスの提供やシルバーコーラス、ひとり暮らし高齢世帯の配食サービスなど、他都市では余り見られない数々の特色ある施策を取り入れ、積極的に取り組まれておりますこと、高く評価をいたすところでございます。 さて、我が国の六十五歳以上の人口は現在、約千九百万人おり、その約八割の千五百万人前後の方たちは、全く介護の必要のない元気な人たちだと言われております。今日、人口の高齢化率が高まり、大きな社会問題となっております要因の一つに、要介護者の増大、それに伴う特別養護老人ホームやヘルパーの不足と費用の増加、また医療費の増嵩など、健康を害した高齢者の対応など、医療費及び福祉費の増嵩がございます。これらの費用が現在の制度では賄い切れず、消費税の五%へのアップや医療費本人負担の増額や医療保険の増額、あるいは老人介護保険の問題など今、国を挙げての大論争となっておりますことは、既に御承知のとおりでございます。 こうした多くの問題が顕在化した現在、その問題に対処する施策が一刻も早く必要なことは申すまでもありませんが、対症療法だけではなく、これと並行して、問題を根から断ち切るべく根本的な解決策もあわせて行っていかなければ、いつまでたっても後手後手に回り、問題の解決にはならないのではないかと思います。つまり、先ほども申し上げましたように、高齢者の八割は元気な人たちでありますが、しかし、今元気なこれらの人たちも要介護や要医療の予備軍であることは変わりありません。今元気な高齢者に一日でも長く元気にお過ごしいただき、健康なままで天寿を全うしていただくことが、御本人や御家族はもとより、市や国にとってもメリットが大きく、最も望ましい姿であることは、だれの目にも明らかなことでございます。 そうした意味の施策として、現在やっております赤手帳による優遇施策や東西の老春の家、各地の老人憩の家などは、まことに意義のある施策ではなかろうかと思います。今年度からスタートした後期基本計画にも、南部地域及び北部地域の老人福祉センターの建設が上がっておりますし、過去の議会でも南部老春の家の建設問題が論議されたと思います。また、老春の家の建設は、昭和六十二年十二月の老人医療費助成制度の廃止に伴う代替施策の一つとしても位置づけられているはずでございます。財政状況の極めて厳しい折ではあることは十分承知をいたしておりますが、この施設は単に箱物を建てるというだけではなく、近い将来の医療費や介護などの福祉経費の節減につながるものであり、一日も早い建設が望まれるところでございます。 そこで、福祉部長さんに数点お尋ねしたいと思います。まず一点は、南部地域の高齢者が東老春の家を利用する場合の交通の便と所要時間。二点目は、南部老春の家建設に対する今日までの取り組みの状況、今後の計画。三点目は、どのような内容の施設をイメージしているのか等についてお答えいただきたいと思います。 続いて、県が矢田原町で建設せんとしている奈良県ヘリポートに関して企画部長さんにお尋ねいたします。救急搬送や災害時の輸送手段として、市民の生命を守り、安全を確保する上からも現代社会におけるヘリコプターの果たす役割は、大変大きなものがあります。私は、この有益なヘリコプター基地を市民の受益がより広範囲になるよう奈良市内に誘致されたことを評価するとともに、目的に即した立派な施設が住民合意のもとに一日も早く完成されんことを願うところであります。本年度の当初予算における四億五千二百十万円の事業負担金にも賛成をさせてもらったところでございます。 新聞報道によれば、県は本年七月、運輸省大阪航空局にヘリポート設置を申請し、十一月二十八日、運輸大臣の許可がおりたようでございます。そして、この十一日には起工式が行われるということで、私どもにも案内状が届いております。申請に当たっては、関係する地元自治会の同意も取りつけ、協定書も結び、何ら問題はないということですが、一方で、万葉ゆかりの地を開発から守れと主張するヘリポート問題を考える会などの反対運動が、今なおおさまっていないのも事実のようでございます。 そこで、具体的なことをお尋ねしたいのですが、まず第一点は、計画段階から今日までの経過を御説明願いたいと思います。 二点目は、同意や了解を得なければならないと考えられる地元関係団体あるいは個人として、どのような方々がいるのか、具体的に挙げていただきたいと思います。 三点目は、既に協定書を結んだということですが、どの団体あるいは個人と結び、内容はどうなのか。 四点目は、現在の計画で、どの地域にどのぐらいの騒音が予想されるのか数値を挙げるとともに、その数値は具体例で言うなら、どのような音になるのか、航空機騒音の環境基準値以下の地域も含めてお示しいただきたいと思います。 五点目は、新聞報道によれば、運営時間は緊急時を除き午前七時から午後八時となっておりますが、こんな早朝から夜遅くまで実際に発着があるのか、心配しております。時間帯ごとの利用回数はどう計画されているのか、以上の五点についてお答えをいただきたいと思います。 以上で私の第一問を終わります。 ○議長(中村誠一君) 福祉部長。 ◎福祉部長(高橋央生君) お答えいたします。 南部老春の家の建設に関しての三つの御質問をいただきました。一点目は、南部地域から東老春の家への交通に関してでありますが、各地域の平均的な地点から申し上げます。いずれもバスの利用を考えています。まず、精華地区でありますが、精華小学校から近鉄奈良駅経由となり、所要時間は四十分程度で、一日四便となっております。次に、帯解地区でございますが、天理線・下山から近鉄奈良駅経由で三十分程度であります。一時間に六ないし七回の便数がございます。続きまして、東市地区ですが、東市小学校から近鉄奈良駅経由で三十五分程度でございまして、一時間に三便程度であります。次に、明治地区につきましては、二十四号線・神殿からJR奈良駅経由で三十分程度であります。一時間に十回程度の便数がございます。辰市地区につきましては、杏南からJR奈良駅経由で三十五分程度であります。一時間に一回の便であります。いずれも近鉄奈良駅、JR奈良駅から乗りかえで、その間には一時間に五回程度の便数がございます。 二問目の今日までの取り組みについてでございます。議員さんおっしゃいますように、南老春の家の建設につきましては、奈良市老人保健福祉計画にもその建設を位置づけしているところでございまして、現在、その用地確保について建設位置の選定を進めさせていただいているところでございます。若干おくれておりますが、早期建設に向け、一日も早く決定してまいりたいと考えてございます。 次に、施設内容についてでございますが、基本的には既存の東老春・西老春の家と同様な施設になろうと存じますが、高齢社会の進展に合わせて、やはり地域のニーズ等も組み入れた利用しやすい施設にしてまいりたいと、かように思っているところでございます。 以上です。 ○議長(中村誠一君) 企画部長。 ◎企画部長(南田昭典君) 県営ヘリポート建設につきまして、お答え申し上げます。 奈良県では、県警ヘリコプターを導入されるころからヘリポートの適地選定を検討されており、平成三年七月に最有力候補地での地権者説明会を開催し、その後、平成五年六月から数十度にわたる地元自治会への説明会開催、また二回の騒音調査等を実施して、平成七年六月に用地の買収を終えたところでございます。その施設概要は、位置は奈良市矢田原町及び菩提山町、管理者は奈良県、それから管理面積は約九万五千五百平米、種類は公共用・陸上ヘリポートということで、平成十年度開港を目途としておるところでございます。 その後、平成八年五月に県、市、田原地区自治連合会の三者でヘリポート建設の協定書を締結し、七月に県から運輸省に対してヘリポート設置の許可申請がなされ、公聴会等を経て、議員さん御指摘のように、九月に設置の許可をされたものでございます。予定では十二月十一日、田原地区での建設地で起工式が行われる運びとなりました。市議会初め多くの市民の皆さんの御協力をいただきまして、本当にありがとうございます。 次に、その同意あるいは地元同意等の了解を必要とする関係団体ですが、奈良県ヘリポート建設に関しまして、県の施行する公共事業として法的に同意を得ることが必要とされるものは、航空法施行規則に基づく、飛行場の敷地についてこれを確実に取得することができることを証明する書類という表現で、つまりは、土地所有者の同意が必要であるということと県からは伺っておるところでございます。 次に、協定書の内容でございますが、平成八年五月に奈良県、奈良市、田原地区自治連合会との間で交わした協定書につきましては、一つは、住民の生活環境向上に県・市が努め、地区自治連合会長はこの事業に協力すること。二つ目は、工事によって住民やその財産に被害が出た場合、県は誠意を持って対応すること。三番目に、供用開始後に年一回騒音調査を行うこと。四番目に、ヘリポートを拡張する場合は、事前に地元と協議すること等、五条の構成となっておる内容でございます。 次に、騒音の予測でございますが、騒音につきましては平成六年五月二十二日と十一月十三日の二回、奈良県が現地でヘリコプターを飛行させて、騒音調査を実施しておるところでございます。この騒音調査は、環境基本法に基づきます航空機騒音に係る環境基準が適用され、測定の結果は基準値以下でありました。具体的な騒音のレベルで申し上げるのは難しいわけですが、一般的には地下鉄の車内で八十から九十ホン、それから十五メーター離れた場所でのトラックやバスが六十五から七十五ホンと言われておりますが、ヘリコプターで九十メートル離れた場所で八十ホン、六百メートル離れますと六十五ホンという程度になります。ヘリコプターはすぐに高度をとり、高速で移動するという機能がございますので、生活音との対比は難しい点がありますが、以上のような状況でございます。 次に、時間帯等でございますが、奈良県がこのヘリポートを設置するに当たって想定しております運行回数は、平成十年段階で一日四・四回程度の需要予測をしているところでございます。 以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○議長(中村誠一君) 一番榧木君。 ◆一番(榧木義秀君) 二問目は自席より質問させていただきます。 まず、福祉部長さんの答弁のことでございますが、実際かかる時間というのは三十五分とか四十分、これは実際バスの中に乗っている時間であって、かなり、そこまで行くにはかなりの時間も要するということでございます。要は、東の老春の家に南部ゾーンの人たちが行く場合はかなり時間を要し、また乗りかえなければならないというような、高齢者にとっては非常に困難なように思われてなりません。 そこで、南部ゾーソは東西にとりあえず長くて、道路網にしても非常に悪いため--まあ建設位置はまだ未定ということでございますが、しかしながら、南部ゾーン五校区の私なりに調べさせていただきました高齢者率を見てみますと、精華地区二四・六%、帯解地区一八・〇%、東市地区一六・五%、明治は一〇・一、辰市は九・五%、以上、東市、帯解、精華の三校区については奈良市の平均を大きく上回っております。加えて、南部ゾーンは、奈良市新総合計画でも位置づけられておりますように、自然環境に富む地域でもありまして、そこで、南部校区の五校区の高齢化率並びに道路網並びに自然環境等を総合的に見ましても、大和青垣国定公園を望む百六十九号線沿いに設置されるのが望ましいと思われますが、いかがお考えでしょうか。 また、二問目のヘリポートについてでございますが、今お聞かせ願いますと、ヘリポートは用地のことばっかりで、物をつくったら生活排水があるということも考慮されていない。そこで、三者協定--用地関係、航空法に基づく騒音の中で三者協定を結んでおられるようですが、水利に関して今申しましたように、生活排水に関しては何のあれもなく事業を推進されているわけでございます。 そこで、地元関係者、名前挙げていいかどうかわかりませんが、とりあえず、白毫寺町、鹿野園町、古市町、この三水利組合が県と再三交渉をする中に、建物の管理棟、エプロン、格納庫、滑走路等々の、ここに排水計画図面が私の手元に届いております。これで再三、県と交渉しておりますが、何ら、いまだまだ合意点を見出していないようにお聞きしております。 だから、市としては事業負担の三分の一を負担するんですから、もっと何といいましょうか、計画とかそういうところにですね、とにかく首を突っ込んでいただいて、先ほど住民の環境等々というようなことがありましたが、それは三地区だけであって他の住民はどうでもええんかと、そういうようなことにもとられかねません。だから要は、市は負担をする以上は、もっと積極的にこのヘリポート建設にかかわって、三十六万市民の質問等々に速やかに答えてもらえるような体制づくりをつくっていただきたいと、このように願うわけでございます。だから、今もう無理に回答という形は設けませんが、ひとつこれは強く要望しておきまして、二問目の質問を終わらせていただきます。 ○議長(中村誠一君) 福祉部長。 ◎福祉部長(高橋央生君) 南部老春の家についての建設場所についての御提言いただきました。議員がおっしゃいますように、南部地域についてはかなり広い地域となってございます。私どもが老春の家を建設するに際しましての用地選定につきましては、議員がおっしゃいましたような条件、いろいろな条件を整理した上で決定してまいりたいと、かように思っております。よろしくお願いします。 ○議長(中村誠一君) 一番榧木君。 ◆一番(榧木義秀君) 三問目、質問というよりか、三問目は要望に、お願いにかえさせていただきたいと思います。 位置がまだ決定していないということで、同じことを繰り返してもいかないんですが、我が国には現在、先ほども言いましたように、約千五百万人の元気な高齢者がおられますが、これらの方々があすから一斉に介護が必要になったり、あるいは長期に医者にかかる必要があるという事態にでもなれば、日本は国も地方もたちどころに財政がパンクしてしまうことは、火を見るより明らかでございます。そのためにも、高齢者が寝たきりにならないような、また病気にならないような生活を援助することは行政としても非常に重要なことで、意義のあることではないかと思います。家の中でひなたぼっこをしているより、高齢者のコミュニティー施設とも言える老春の家で活動的な時間を持つ方が、健康維持のためにも異論のないところだと思います。遠くて不便なところではちょっと行ってみるかという気持ちにもならず、身近にある施設で顔見知りが集まる施設なら進んで出かけるようになると思います。市全体の経費節減にもつながる有意義な施設でもあります。質問の内容を御理解していただきまして、一日も早い実現に御努力いただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(中村誠一君) 議事の都合により暫時休憩いたします。  午後二時十八分 休憩  午後三時二分 再開 ○副議長(米澤保君) 議長所用のため、私かわって議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。 休憩前に引き続き会議を開きます。--------------------------------------- ○副議長(米澤保君) 質疑並びに一般質問を続行いたします。 三十五番小林さん。  (三十五番 小林照代君 登壇) ◆三十五番(小林照代君) 私は、通告いたしました三点について、質問をさせていただきます。 まず初めに、障害者行政についてであります。政府は、昨年の十二月、数値を明確にした障害者プラン、すなわちノーマライゼーション七か年戦略を策定し、発表しました。「国連・障害者の十年」の後の我が国障害者施策をめぐっては、九三年の三月に「障害者対策に関する新長期計画」の策定と九三年から二〇〇二年までの新たな障害者の十年の設定、九三年十一月、障害者基本法の成立、そしてプランの策定と、これまでにない施策の展開が見られ、多くの障害者、家族、関係者の期待を高めています。 今日、なぜプランの策定なのかについては、さまざまなことが考えられますが、その一つは、障害者施策をめぐる国際的な動向とその影響を挙げることができます。国連では、各国政府に呼びかけた障害者十年が総括され、施策上の前進とともに、障害者の人権保障という点で残された課題も指摘され、啓発から行動への一層の取り組みの強化が強調されています。 その具体化の一つとして、障害者の機会均等化に関する基準規則が九三年の第四十八回国連総会で採択されまして、障害者の人権を保障するための国際的な指針が示されています。また、九二年の国連アジア太平洋経済社会委員会の総会において「アジア太平洋障害者の十年」が決議され、行動課題も決定されています。そして、各国政府においても、九〇年には障害者を待つアメリカ人法、すなわちADA法の成立以降、イギリス、オーストラリア、フィリピンなど幾つもの国々が障害者差別禁止法の制定あるいは準備を進めているなど、具体的な取り組みが展開されています。こうした動きは、今後進められる状況を見なければならないとしましても、障害者の人権保障が国際的に常識な課題になりつつあることを示しており、政府にとって軽視できない動きとなっています。 もう一つは、「国連・障害者の十年」の国際的な呼びかけの中で、我が国の障害者施策も一定の前進があったとはいえ、まだまだ不十分なために、多くの解決すべき問題が取り残され、障害者、家族、関係者が国や自治体に対して働きかけをこれまで以上に強めたことが挙げられます。 国の障害者のプランは、こうした国際的、国内的な動きを背景に制定されたものであり、特に障害者の家族、関係者の取り組みがあったからこそという点が重要であります。 ところで、奈良市では、九三年三月に発表されました国の「障害者対策に関する新長期計画」に基づいて、障害者福祉基本計画が九四年の三月に制定されました。これは奈良県の中では最も早かったと思います。しかし、この計画を実施に移すべき実施計画が、いまだにできていません。国の障害者プランの位置づけは、「障害者対策に関する新長期計画」の具体化を図るための重点施策の実施計画とあります。国のプランの奈良市版とも言うべき、数値目標を明確に盛り込んだ奈良市の障害者プランを一日も早くつくり、実施に生かしていくべきであります。 そこで、福祉部長にお尋ねいたします。一つは、奈良市の障害者プランの策定は進められているのでしょうか。また、プラン推進には財政の裏づけが不可欠です。国に対して十分な財源措置を行うよう要請をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 二つ目は、入所施設、重度の障害者の方の療護施設の問題です。国の障害者プランにも、特に供給が不足している施設の待機者を解消するため、身体障害者療護施設については、二万五千人分となることを目標として、計画期間内にそれぞれ整備するとありますが、奈良市でも家族や関係者にとって大変切実な問題です。六月議会には我が党議員が質問していますが、市長も大いに意欲あるお答えを下さっています。現在、市内には八十床の菅原園のみです。何とか施設をふやしてほしい、そのめどをつくっていただきたい、この点についての前進はあるのでしょうか。 三点目は、小規模作業所の問題です。プランには、自立に大きな役割を果たしている作業所につきまして助成措置の充実を図るとありますが、数値目標が示されず、問題です。私は、障害者の皆さんが通いやすい、中学校区ごとに一つくらいの作業所が必要と考えます。また、作業所の運営について助成措置の充実も引き続き考えていただきたいと思いますが、お答えください。 四点目は、懸案になっております、さきの議会でも審議されておりますが、福祉のまちづくり条例の検討は進んでいるのでしょうか。 次に、生活保護訴訟と生活保護行政についてお尋ねいたします。 「生活保護制限は違法 働く能力あっても不況・けがで困難 野宿男性が勝訴 名古屋地裁判決」との十月三十一日付朝日新聞の報道を、私は大変注目して読みました。この裁判は、不況やけがで野宿を強いられているのに、生活扶助と住宅扶助の生活保護を認めなかった決定は違法として、日雇い建設作業員の林さんが市と福祉事務所を相手取り、同決定の取り消しと慰謝料の支払いを求め、九四年五月提訴した、いわゆる林訴訟と言われる裁判です。 こうした裁判や審査請求は、八〇年代半ば以降、社会的に大きな衝撃を与えました。八七年一月の札幌の母親餓死事件や同年十月の東京・荒川区の老人自殺事件など、人権侵害が全国的に起こってきた後、九〇年代初頭から続々と提起されました。私が知る限りでも十三件に上ります。秋田県の重度障害者の加藤さん夫婦が、倹約して将来に備えて蓄えた貯金を収入認定された処分の取り消しを求めた裁判で、九三年四月に勝訴、同年十月には京都府で、日雇い労働者、柳園さんが保護廃止処分の取り消しを求めた裁判で勝訴、九五年三月には福岡県で、子供の高校進学に備えて積み立てた学資保険を収入認定し、保護費を減額した処分の取り消しを求めた中島さんの裁判、同じ福岡で、世帯外の弟から自動車を借りてお見舞いに行った、子供三人を抱えた母子世帯が、自動車に乗っていたとして保護停止を受けた処分の取り消しを求めた提訴、山梨県では、保護申請を表明したにもかかわらず、申請書が交付されず、入院しても保護されず、保護申請しても民生委員の意見書がないと突き返されたことを不服として提訴されたなどであります。全体的に、裁判で生活保護法そのものの不当性を争うというより、法の枠内の運用を争うというのが特徴であると言えます。 ところで、ことしは国際貧困根絶年に当たります。また、今、人権週間でもあります。私たちの住む日本では、国民の生活水準は向上するとともに平準化し、貧富の格差は縮小し、低所得者層の生活水準を引き上げ、安定させた等々という政府関係審議会の答申に基づいて、社会保障、社会福祉施策が遂行されています。しかし、もはや貧困はなくなったという認識は果たして正しいのでしょうか。国際貧困根絶年に当たり、社会福祉の原点とも言うべき貧困問題を考えてみたいと思います。 世界には、目を覆うような貧困がまだ広くあります。発展途上国は、世界人口の八割を占めながら、生産では一五%を占めるにすぎず、サミット七カ国は、人口一二%で、生産の六割を占めています。毎日、飢餓で苦しんでいる人は、発展途上国で八億人に達すると言われ、ユニセフ世界子供白書は、毎年一千五百万人の五歳未満児が死亡、三分の一の子供が、四年の教育を終了できないでいると報告し、さらに、過去十年間に武力紛争で二百万人の子供が殺され、四百万から五百万人が障害を負い、一千二百万人が家を失ったとしています。 ところで、日本の貧困は、発展途上国の貧困のような、大規模な、深刻なあらわれ方と違ったところがありますが、しかし、人間の尊厳性や人権が貧困のために侵されていることは同じです。深刻な雇用不安があります。高まる完全失業率、国民健康保険料や税の滞納を余儀なくされる人々、膨大な低年金または年金のない人や大震災の罹災者、住む家がなく街頭生活を余儀なくされる人たちなど、今日の我が国にとって、国際貧困根絶年は決して他人事でないものとして、真剣に受けとめざるを得ない状況に置かれています。 それだけに、健康で文化的なという意味で最低限度の生活を営む権利と、その権利の保障のために、すべての生活面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めるべき国の責務をうたった憲法二十五条の生存権条項と、これを受けたものでなければならないはずの社会保障立法の中でも、とりわけ、いわゆる社会的安全綱、人間に値する生活の最後のとりでと言うべき生活保護法は、今日大きな意義を持っています。しかし、生活保護法に対する行政解釈、運用は、必ずしも憲法二十五条を受けた法の精神にふさわしいものでない状況から、違憲、違法な行政により、人として生きる権利を侵害されたと考える人々の側から、泣き寝入りすることなく、裁判に訴えてでも、その権利を回復、救済を求めようという闘いが提起されていることになるわけです。 現在の生活保護法は、御承知のように、戦前の旧法と異なり、第二次世界大戦の後、人間らしく生きる権利の保障制度の確立運動の流れと国民の民主主義と暮らしを守る要求と運動の中で、一九五〇年に制定されました。患者、失業者、貧困者、日雇い労働者など、生きるか死ぬかの、文字どおり生存をかけての闘いでした。生活苦や貧困、病気は個人の責任ではなく、政府の低賃金政策や貧しい医療政策、労働政策など、社会的要因によるものです。生活保護法は、こうした社会的原因による生活苦から、国の責任、国民の生活を守ることを目的としてつくられました。 そこで初めに、助役にお尋ねをします。一つは、生活保護訴訟、不服申請が九〇年代に入ってふえていることについて、どのように受けとめておられますか。 二つ目は、八〇年代後半から餓死事件など社会問題が起きている、その大きな原因になっているのが、生活保護行政の適正化、一二三号通知であります。その廃止を厚生省に要請していただけませんか。 次に、福祉部長には、運用上は改善していただきたい問題がたくさんありますが、基本的な点に絞ってお尋ねします。まず、保護申請に当たって、一、申請の申し出があれば申請書を渡す。二、公式の申請書でなく手書きのものでも認める。三、電話での申請者の希望や申請の申し出があれば、訪問して対応する。四、資産や扶養親族の調査は申請後に行い、申請前の調査はしない、以上四点です。 次に、生活保護は、人間らしく生きていく上で国民の当然の権利であることが理解されるように、日常的な広報宣伝をお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 次に、保健衛生行政についてです。人々の健康を維持するための保健制度の実施を初め、公衆衛生の向上・増進を図る地方機関として、都道府県と政令都市に保健所の設置を定めてまいりました保健所法にかわり、九四年には地域保健法が成立、いよいよ来年度から施行されます。地域保健法によれば、保健所圏域を二次医療圏に一カ所として、全国の保健所の数をほぼ半減するとしています。保健所は住民からますます遠い行政機関となり、難病患者、精神障害者、障害を持つ乳幼児やその家族など、最も保健所を必要とする人たちを切り捨てることとなります。また、母子保健事業や栄養改善事業を財政保障なしで市町村に移管するとしています。市町村は、老人保健事業の上に、母子保健事業の実施にすべて責任を持つことになり、その役割が大きく、市町村を中心とする保健衛生行政に変わろうとしています。 このように、地域保健法は、公衆衛生に関する国の責任を放棄し、市町村には財政負担を、住民には公衆衛生水準低下をもたらすものであり、公衆衛生五十年の歴史全体の転換であると言わざるを得ません。 一方、こうした保健所の統廃合に対して、保健所は減らすどころか、ふやしてほしいとの願いで、全国各地で保健所拡充運動が広がり、大阪や静岡や北海道では、来年四月実施の見送りや見直し、あるいは延期せざるを得ない状況も生まれています。 兵車県では、阪神・淡路大震災の健康相談や避難所の衛生点検、「O157」問題でも保健所の役割は大きいとの県民の世論と運動の高まりを反映して、最近、統廃合は当面見送ることを明らかにしました。 奈良県は戦後八ヵ所の保健所がありましたが、それが減らされまして、県内では六ヵ所と、人口規模に対して大変少なく、今回、統廃合の直接の対象とはなりませんでした。しかし、従来の保健所法のもとでは、奈良市だけでも最低三ヵ所の保健所が必要となっていましたように、保健衛生行政の一層の充実が求められています。地域保健法の成立によって保健所設置の基準が変わり、奈良市は保健所の設置ができる人口規模となっており、これまで私どもは、保健所の設置を強く要望してきたところであります。ことしの三月議会で、こうした要望に対し、市長は、調査研究を進める、庁内組織の設置を考えていくとの御答弁でした。ぜひ実現に向けて進めていただきたいと思います。 さて、今回は、これまでの老人保健事業に加えて、母子保健事業、栄養相談事業などが保健所より移管され、ますます充実、整備が急がれております保健センターの施設についてお尋ねいたします。 老人保健福祉計画では、施設数二カ所、現施設の増改築及び西北部に一施設新設となっています。この計画は進めていただいているのでしょうか。 また、市役所の横にあります現在の保健センターは、古く手狭になってきております。改築はいつごろになるのでしょうか。また、保健婦などのマンパワー確保の状況をお答えください。 以上で第一問を終わります。 ○副議長(米澤保君) 山中助役。  (助役 山中俊彦君 登壇) ◎助役(山中俊彦君) 小林議員の御質問にお答え申し上げます。 各地区で生活保護に関係する裁判あるいは不服申し立てが数多く起こっているけど、どう思うかという御質問だったと思います。 現行の生活保護制度は、健康で文化的な最低生活を保障することを基本理念に、昭和二十五年に施行以来、三十数回にわたりまして改正が加えられております。しかし、最近、国民生活の実態は急速に変化してまいりました。それと、経済状況の変化、それに加えまして被保護世帯のニーズが、これもまた多様化してまいっております。それから、そういうことから、現在の生活保護制度では、きめ細かく十分に対応できない部分があったのではないかと考えております。そういうことで、訴訟等が起こったものではないかというふうに考えております。 次に、二点目の厚生省の通知、一二三号の廃止を求める気はないかということでございますが、これが出されたのは昭和五十六年十一月でございまして、当時は、生活保護の不正受給が再三発生いたしておりました。そういうことから、生活保護行政のあり方に対しても批判が出てきておりまして、大多数の善意の被保護者に多大の迷惑をかけるような状態になっておりました。そういうことで、生活保護制度そのものに対する国民の信頼が失われるということで、そういうことになりますと、社会的影響が極めて大きいことから、この通知が出されたものであります。ですから、あくまでも不正受給防止を目的とした通知でありまして、善意の保護者を排除するためのものとは考えておりませんので、厚生省に対する廃止要請は必要ないと考えております。 ○副議長(米澤保君) 福祉部長。 ◎福祉部長(高橋央生君) 御質問にお答えいたします。 まず最初は、障害者行政についてでございます。平成七年十二月に障害者プランが決定されました。これは、平成十四年度をめどとする施策の数値目標も提示されたところでございます。障害者プランにつきましては、保健福祉サービス体系について、市町村域・複数市町村を含む広域圏域・都道府県域の各圏域ごとの機能分担を明確にして、各種の面的、計画的に整備することにより、重層的なネットワークを構築すると、こういうようなことでなってございます。この圏域につきましては、県が設定すると、こういうことになってございますので、今現在、この作業も進められているやに聞いております。その動向を見て、障害者プランも策定していきたいと、かように思っているところでございますが、一方、奈良市におきましては、平成六年に障害者福祉基本計画を策定して、障害者福祉推進委員会において、その推進についての内容を御討議いただき、福祉施策に反映させていただいていると、こういうようなところでございます。 また、これに関する補助についてでございますが、ゴールドプラン、高齢者関係につきましては、その際に七兆円であるとか、あるいは新ゴールドプランで十二兆円であるとかいう財政の枠が示されたのでございますが、これについては、まだそういうような枠組みはされてございません。 次に、障害者施設についてでございます。重度の身体障害者療護施設は、奈良市におきましては、県立民営の施設、菅原園一ヵ所でございますが、平成十年四月に大淀町に開所予定されてます。この枠は定員百人でございます。これによって、入所待機者が大幅に減少するものと考えてございます。 本市におきましては、障害者の通所授産施設、身体障害者については二ヵ所、知的障害者についても二ヵ所がございます。また、来年におきましては、知的障害者について二ヵ所が新たに開所の予定になってございまして、待機者の解消につながると考えております。 三点目の小規模作業所についてでございますが、現在、市内で九ヵ所ございます。これらについては、市の単独の助成も行っているところでございます。小規模作業所については、ここ一、二年は定数も充足していると考えておりますが、新たな養護学校卒業者等がございますので、新設などの相談があれば、障害者の立場で考えていきたいと、かように思っております。 次に、福祉のまちづくり条例の制定についてでございます。本市においては、昭和六十年より福祉のまちづくりの実施について、要綱を設置して対応してまいりましたが、本年四月より、奈良県住みよい福祉のまちづくり条例が施行されました。県条例と市要綱を比較いたしますと、大部分が県条例に盛り込まれておりますが、若干その範囲を超えるものがございます。これらにつきましては、奈良市独自の要綱ということで適用し、実施指導をしていると、こういうところでございます。現況では、これらの実施について混乱することはございませんが、現在、条例化につきましても検討をしている、そういうところでございます。 次に、生活保護行政に関連して、申請についてでございますが、まず一点目に、申し出があれば申請書を渡すと、こういうことでございます。御意見はもっともと考えますが、生活保護の申請については、その性格上、速やかに、また確実な決定を必要とすると考えてございます。したがいまして、保護制度に対し十分な理解のない状態で申請していただきますと、かえって申請者に御負担をおかけしかねない、こういうこともございます。また、保護の決定にも必要以上の時間を要することも考えられますので、あらかじめやはり生活保護制度を説明の上、申請書をお渡しして、申請者の意思を受けて受理いたしていると、こういうことでございます。 また、申請書は公式のものでなくてもいいんではないかということでございますが、保護法施行規則に定められた保護申請書以外の手書きの申請書をもって受理することは、申請の要件を十分に満たしていることは少ないのではないかと、かえって申請者に複雑で負担をかけることにもなりかねないと、かように思いますので、規則に定められた申請書を利用していただきたいと、こういうことに思ってございます。 また、電話での希望があればどうかということでございます。申請者が体調不良で、本人にかわって申請に来ることができる身内のおられない方、また単身者で入院中等の理由により申請に来られない方については、訪問面接により趣旨説明をさせていただいて、申請書を受理、現在もしてございます。 それから、資産・扶養調査等を申請前に調査をしないことと、こういうことでございますが、保護の正確を期する観点からの調査でございます。したがいまして、申請前については、調査は実施してございません。 次に、保健衛生行政についてでございます。保健センターの建設とマンパワーの確保ということでございますが、市民の健康づくりの拠点として、現在、保健センターが面積九百平方メートルで設置してございます。また、議員さんもおっしゃいましたように、第二期基本計画に人口急増地域である西北部地域で新設も考えておりますが、現在、まだ確定までは至ってございません。最終的には、市内二ヵ所の設置ということになります。 また、マンパワーの確保についてでございますが、来年度新しく保健婦八名を初めとし、理学療法士、心理判定員の採用予定をしてございます。ゴールドプランで必要とされる人数の確保を今後も図っていきたいと、かように思ってございます。 以上です。 ○副議長(米澤保君) 三十五番小林さん。 ◆三十五番(小林照代君) 二問目は自席からさせていただきます。 障害者の行政についてですが、プランの策定なんですが、国の方は九六年から二〇〇二年という期間を切ってるわけで、九六年はもうことしですのでね、プランの策定が大変急がれると思います。それで、昨日、奈良県の障害者協議会が福祉フォーラムといいまして、御承知と思いますが、きょうは障害者の日なんですが、障害者週間になってまして、その期間に、このようなプランの各市町村での策定ということでフォーラムを開かれておりましてね、保健所などの資料を見ましたら、十市の中でですね、六市が策定中という状況なんですね。それで、実態調査の把握ということでは、障害者の方への調査も進めていらっしゃるということで、基本計画は早くできたけれども、プランについては、奈良市はおくれをとってしまうのではないかというように危惧しているわけです。ぜひ、これも促進をしていただきたいと思ってるんですが、この点につきましてね、二つほど要望しておきたいと思います。先ほど言いましたように、障害者の実態とかニーズの把握がね、十分できてないのではないか。ですから、このプランをつくるのに当たりまして、障害者推進協議会というのをいろいろなところで設置してるんですが、そこには障害者団体の代表が--幅広い団体です、参加をできるように、当事者の意見を十分に聞いていただける、そういう機関をしていただきたいなと思います。 それから二つ目に、内容の点なんですが、保健所の方からもらってます資料で見てるんですが、障害者の中で精神障害者の問題が、奈良市の基本計画の中には盛り込まれておりません。国のプランには、きちっと精神障害者の問題が位置づけられております。この点をプラン策定のときにはね、ぜひきちっと位置づけて、入れていただきたいなというふうに思っております。 それで、この問題につきまして、先ほど策定をするという意向はね、お答えいただきましたので、いつごろをめどにしていらっしゃるのか、この点で二問目でお尋ねをしたいと思います。 それから、あと条例の問題ですね、福祉のまちづくりの条例は、県条例がことしの四月ですか、できたということでね、ちょっと奈良市の姿勢として後退をしたんじゃないかなと感じているところなんですが、奈良市独自のものといいますか、補完するものもあるはずですので、検討されるということですので、つくるという方向でね、ぜひ検討をしていただきたいというふうに思ってます。 療護施設の問題なんですけれども、これは大変切実です。六月議会にも、我が党の議員からも具体的な市民の状態を報告させていただいて、質問してるんですけど、私も最近お聞きしたんですけど、五十七歳のパーキンソン病で寝たきりの方、重度障害の女性なんですけどね、入院をされてましてね、退院をしなきゃならなくなって、兄弟が近くにアパートを借りて、毎日介護に通ったけれども、とうとう疲れ果ててしまったということで、何とかならないかということだったんですが、結局、先生に苦肉の策でですね、若年性痴呆性があったという診断を書いていただきまして、特別養護老人ホーム--これも不足してるんですけれども、特別養護老人ホームの申し込みの資格を何とかつくったという、こういう例がありまして、先ほど大淀の方ですか、施設ができるということなんですが、やっぱり奈良市にもこの療護施設がどうしても必要なんではないかと思いますので、一層の努力といいますか、ぜひ、そういう目標を持っていただきたいというふうに思います。 小規模作業所につきましても、今、各地域の中でいろいろな、さまざまな障害の方をね、最後に受け入れられる場所というのが、小規模作業所なんですね。全国で四千ヵ所、七万人の人が働いているということで、奈良県下では四十五ヵ所あるんですけど、毎年、今どこかで小規模作業所はふえているという、そういう状況なんですけれども、しかし、運動が進んでいるところはどんどんふえていくけれども、ある地域では全くないというね、そういうアンバランスな状況になっております。それで、行政としては奈良市の中に、私、先ほど言いましたけれども、校区に一カ所ぐらいの、全地域的にですね、やっぱり作業所をつくってほしいなというふうに思いますのと、そこで働いております指導員の方というのは、非常にね、給料一ヵ月十二万から十三万という、補助金助成制度を奈良市も努力して加算といいますか、つけていただいてるんですけれども、大変厳しい労働条件といいますか、中でしておりまして、もう働くことが精いっぱいという、そういう状況ですので、さらにこの点も考えていただきたいなというふうに思います。 障害者の行政につきましては、プランのいつを目標にしているのかという点を二問でお答えいただきたいと思います。 それから、生活保護の問題なんですが、助役の方の御答弁いただきまして、確かに生活保護法が時代に合っていないという、皆さんのニーズに合ってないという、そういうことについて、法そのものが時代おくれになっているということについては同じ、私もそういう認識なんですけれども、先ほど申し上げました次々起こる、この訴訟問題の理由といいますか、それは法の運用をめぐって争われるということが、大部分占めているわけです。だから、奈良市の地方自治体がどういう、その申請に対して対応されるのか、本当に受給者の立場でそういうことができているのかどうかという、この点をですね、やっぱり問われているという、そういうことではないかというふうに思っております。 それで、適正化の問題とつながっていくんですが、二問目でどうしても助役にはこの点はお聞きしときたいなと思っておりますが、適正化の問題ですね、これはですね、必要ないという、善意の人の保護申請を抑制するものではないというような御答弁でありました。しかし、御記憶にあるかと思いますが、先ほど言いました八七年の東京・荒川区の老母の自殺事件なんですが、支給されておりました生活保護を辞退させられて、打ち切られた上での自殺なんです。そのときに、この方は「二度と生きて福祉を受けたくありません。福祉は人を助けるのでしょうか、苦しめるところでしょうか」と、福祉事務所へ抗議の遺書を残して自殺をされた。ニュースでごらんいただいたと思いますので、多くの人々の心に焼きついているというふうに思いますが、不正受給を防ぐという、不正受給をさせないということでできました一二三号通達--厚生省の通知なんですけれども、これがですね、実際は、保護申請時に、申請者本人から資産や収入や状況調査の白紙委任同様の同意書をとって、これを拒む者は、申請の却下を検討することを指示している内容なんですね。これがきっかけになりまして、申請が大変厳しくなりました。 御存じだと思いますが、扶養届という用紙があります。以前はですね、扶養義務者といいまして、この方の名前を書いてもらって、扶養できない理由を書くという、それだけだったんですけれども、この扶養届の用紙が非常に複雑になって、兄弟姉妹、家族の収入、資産、負債など細かく記入をしなければならない。おまけに、民法第八百七十七条、直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務があるという、その条文が印刷をされておりまして、大変精神的な圧力を受けるわけです。だから、これによって、実母が保護を受ける、そのために夫やしゅうととの関係が悪化したとか、子供に迷惑をかけたくないということで保護申請をやむなく辞退するという状況も出てきておりますし、また母子家庭に対して、離婚した前夫に対して扶養の申し立てを家庭裁判所に対してして、その写しをつけるように--これが母子家庭にとっていかに過酷なことかということは、推測をしていただいたらわかると思います。このように生命保険の問題もありますし、一律に車の保有を認めないという、こういうような問題もあります。 このようにして適正化が進められる中で、生活保護の保護率がどんどん下がりまして、全国的には、八〇年代は人口千人に十二、三人だったのが、九四年には七・一人、奈良市のを見てみますと、八七年には二二・四四パーミルが、ことしは春--四月の数字ですが、八・八九パーミルというふうに下がっているということになっております。 こういうふうな状況があります中で、私は、先ほどの訴訟問題とあわせましてお聞きしておきたかったのは、奈良市はちゃんとしてるから訴訟は起こってないし、そのようなきついやり方はしていないという、そういうお気持ちもあろうかと思うんですけれども、しかし、適正化をどう見るかということでは認識がね、助役のお答えとは大分隔たりがあります。このまま無批判に国の意向のまま保護事務を進めますと、人権侵害を起こすようなことにもなりかねないという--だから訴訟だとか社会問題になってからでは遅いというふうに思いますので、この際、受給者の立場に立って、保護行政の洗い直しといいますか、厳しくするという意味じゃないんですが、受給者の立場に立った保護実務のですね、そういう点検などもしていただきたいと思っているんですが、この点について助役はどのようにお考えになるか、二問目でお尋ねしたいと思います。 それから、保健センターの問題ですが、この保健センターの問題は、実は奈良市の西部地域でね、郡山と隣接してますので、若いお母さんたちが育児のサークルをつくっているわけです。その育児サークルの方たちが、郡山の「さんて郡山」という保健センターを借りてやってるんですが、奈良ともう全然違う、物すごい違うと、何でこんなに違うのと言いましてね、署名運動でもしてね、もう本当にお願いに行かなあかんという話をされておりました。それはですね、保健センターには、ベビー台もないし、ベビーキープもない、エレベーターもないし、廊下の冷暖房もないし、そしてトイレも男の子がトイレできる、そういう場もないしという、いろいろいろいろ並べておられました。そういう施設、まあ古いわけですので、それはやむを得ないという面もあるんですけれども、しかし、ベビー台は工夫したら置けるんではないかとか、トイレの改修はできるんじゃないかとかというふうに思うんですが、その点で、この今の保健センターの改善といいますか、改修について、どのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。 以上で二問目、終わります。O副議長(米澤保 君) 山中助役。 ◎助役(山中俊彦君) 生活保護の適正実施の推進についてという、この通知をよく読みましても、やはりこの文書の中に、はっきりと暴力団関係者による生活保護の不正受給がふえているというふうになっております。それを防ぐために、適正に審査せよというふうな形になってるわけです。ですから、ただ、私どもの力では、一応、申請は受けた後に資産をお聞きするという形で、申請はそのまま受けております。その後で審査の聞き取り調査をやるとか、そういう形をやっておりまして、またケースワーカーの研修会等で、受給者の立場に立った仕事をやるように指導してまいりたいというふうに思っております。 ○副議長(米澤保君) 福祉部長。 ◎福祉部長(高橋央生君) 一点日の障害者プランの策定時期についてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、国の方から出されました数値目標については全体的でございまして、奈良県の割合がどうであるか、あるいはまた、奈良市の割合がどうであるかと、こういうような点について、まだ県の方でニーズ調査なりし、決めていくと、こういうようなことになってございます。したがいまして、それらを見ながらプラン策定に進めていきたいと、こういうことに思っておるわけですが、しかしながら、奈良市では、先ほども申しましたように、障害者福祉基本計画を設けてございます。そして、その推進に当たりましては、障害者の団体も入っていただいた障害者福祉推進委員会でいろいろ福祉施策について御討議いただいております。したがいまして、市においては、今後とも、安らぎと生きがいの持てる社会環境、障害者の自立援助、社会環境の整備、こういうような障害者プランの目標につきましての諸施策にも、プランの策定がおくれましても、積極的に施策を取り組んでまいりたいと、かように思っているところでございます。 それから、二点目の保健センターについて、ベビーシート等の設置が可能じゃないかと、こういうことでございます。母子保健事業が、現在の事業から、来年度大幅に奈良市の方へ委譲されるということにもなってございまして、これからの保健センターの利用人員も大幅にふえることになると存じます。したがいまして、施設の充実についても、マンパワーと同様図ってまいりたいと、かように思ってございます。 以上です。 ○副議長(米澤保君) 三十五番小林さん。 ◆三十五番(小林照代君) 三問目は意見といいますか、要望をさせていただきたいと思います。 秋田県で、先ほど言いました加藤裁判がありまして、角館町なんですが、敗訴いたしまして、社会的に制裁を受けました。その後、秋田県の生活と健康を守る会の皆さんの申し入れがありまして、この秋田では、保護行政の全般的な見直し、改善を進めました。それは、先ほど一部言いましたが、申請の受け付けの事務の問題であるとか、資産の取り扱い、扶養義務者の調査などについての改善をするということなんです。私も先ほど言いましたが、奈良市ではそういうことはないと思いますが、事が起こってからでは遅いといいますか、それから改善する--しないよりはいいんですけれども、ということですので、本当に人権を守る、そういう保護行政でありたいということで、お願いをしておきたいというふうに思います。 私が感想をちょっと言わせていただきますと、私が生活保護の問題にかかわりましてから二十四年ぐらいになります。一九七三年に病院のケースワーカーになりました。その当時は、まだ結核の長期療養の入院の患者さんが多かったために、私がまずやりました仕事は、福祉事務所に行きまして、こうした方々の保護の申請をする仕事でした。この間、見てみますと、本当に保護の申請が厳しくなったなあということを肌で実感をしております。行き倒れの方々が運び込まれますと、こうした方々の生活費や医療費の工面に私たちは走り回ったものなんですが、それで、私が特に主張したいのは、社会福祉や社会保障といいますと、障害を持った人だとか、あるいは子供たちの福祉のこととか、またお年寄りのことなどを考えて、きっとみんな気の毒だなあ、かわいそうだなあ、何とかしてあげたいなあと考える人は多いと思います。助けてやるのだと考える人もいると思います。しかし、社会福祉、社会保障というのは、紛れもなく、人として生きていくための権利だということですね。その権利を行政が保障する制度だということを、改めて今日の保護行政の状態の中で、私たちはお互いにね、かみしめなければならないんじゃないかというふうに思います。地方自治法が、「住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」ということを言っておりますけれども、私たちはこのことを基本的な判断にしていかなければならないと思いますので、このことを要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。 ○副議長(米澤保君) 七番金野君。  (七番 金野秀一君 登壇) ◆七番(金野秀一君) 私は、通告をいたしました数点について、山中助役を初め関係理事者にお伺いをいたします。 まず最初に、助役にお尋ねいたします。現在、秘書課の中に国際交流室を設置され、積極的に姉妹都市交流を展開されています。特に、大川市長は、市民が外国また外国人と触れ合うことを重視され、昨年の市民友好の翼で三百人が慶州市を訪問、そしてことしは、小・中学校各二名の代表によるオーストラリア・キャンベラ市と慶州市訪問が行われ、多くの青少年や市民が、多文化に触れ、異文化を理解し、その視野を大きく広げることができたと思います。大川市長の人づくり事業として、この多文化体験が、奈良市にとって今後、大きな芽を出し、花を咲かせることと大変評価をさせていただいております。 第二期基本計画における市民交流の項目では、奈良市の将来都市像として、多くの人がこの都市の魅力に引かれて集い、そこに住む人や訪れる人が活発な交流を展開し、快適な生活を送り、心地よさを感じ取り、愛着を覚え、このまちを楽しむような文化性の高い世界都市を目指すとあり、施策大綱の中では、生き生きとした、温かみのある地域社会を形成していくために、市民相互の交流や地域間・国際間の交流を通じて、人と人との触れ合いのあるまちづくりを標榜するとされております。これらの例の中で、住む人や訪れる人の活発な交流を通して、触れ合いのあるまちづくりを目指しておられますが、その目的を達成するためにも、奈良市に住む外国人に対する視点が、さらに必要ではないかと思います。 九月の一般質問で要望をさせていただきましたが、奈良に住む外国人、とりわけ私費留学生の方が現在、百十名奈良市におられますが、内訳は、生駒市の先端科学技術大学院大学の七名を含めて、奈良女子大学三十三名、教育大学三十三名、帝塚山大学二十名、近畿大学農学部十五名、奈良大学二名となっております。私もボランティア活動を通して何人もの学生と交流をしていますが、前回の質問でもその一例を紹介しましたが、ラーメンしか食べられなくて体調を崩し、衰弱した学生、また先月は、バングラデシュの留学生から、奈良女子大学の国際交流会館にいたが、二年間が過ぎて出なければならないが、アパートを探してほしいという依頼がありました。払える金額は一万五千円ぐらいしかないが、ふろつきの家を探してほしいという相談でした。あるところに無理をお願いして、何とか入居先を見つけることができましたが、このように多くの学生が、経済的、社会的に大変な状況の中で、アルバイトをしながら奈良で生活をし、学んでいる留学生がおられます。 反面、私費留学生に対して、物心ともに支援をされている多くのボランティアの人たちもおられます。この人たちの多くは、留学生との交流を通して奈良のよさを少しでも理解していただこうと、積極的に努力をされています。留学生の人は、確かに何年かすれば母国に帰りますが、母国に帰ったときに必ず奈良を評価されると思います。 現在、彼らは、大川市長が行われた国民健康保険料を市が負担する制度、すなわち外国人留学生健康奨励金支給制度のおかげで、病気に対する不安がなくなったと大変喜ばれ、感謝をされています。彼らが母国に帰ったときに、奈良の観光大臣として奈良をアピールしてくれることと思います。 そこで、今、彼らの多くが一番困っている経済問題の解決のため、私費留学生に対する奨学金支給制度を奈良市に導入するお考えはないかどうか、また、家賃補助ということをお考えはないかどうかをお尋ねいたします。 次に、企画部長にお尋ねします。井上町に国際交流センターの建設が予定されていますが、財政難の折、その建設には多くの条件整備が必要だと考えますが、その必要性はますます増加してくることと思います。 そこで、今すぐ計画が進むとは考えませんが、その役割、機能、運営等についての検討は、今からでも必要ではないかと考えます。ハード部分の建物の設計から計画を考えるのではなく、ソフト部分から建物の形状を考えていくことが大切ではないかと考えます。外国人と市民が気軽に触れ合える、また文化性の高い世界都市にふさわしいものとなるように、計画段階から近隣住民、国際交流ボランティアグループ、大学関係者、留学生を含めた外国人を検討会の構成員として、行政側は見守りながら、完成後の事業や運営も含めて企画をしていくシステムをつくる必要があると思います。建物を建てることが目的ではなく、これをつくり上げていく過程を通して、どれだけ多くの市民がかかわり、大きな世界都市にしていくか、また市民が自主・能動の人になっていくかのプロセスを大切にすることを目的に、従来とは違った形で推進していくお考えはないかどうか、お尋ねいたします。 次に、まちづくりに市民とのパートナーシップによる都市行政についてお尋ねします。 本市においても、JR奈良駅前周辺や近鉄西大寺駅周辺や学園前駅周辺、その他公園、道路等、多くの整備を手がけていただいております。そのことについては、大変結構なことであり、一定の評価をいたしております。しかしながら、今なお訴訟や用地買収において協力が得られないところがあるように聞き及んでおります。市当局におかれましても、時間外勤務や休日出勤をされて、住民との対話に大変御苦労をいただいていることもよく聞き及んでおります。たとえ、今は苦しくとも、将来の市民の発展のためにも、着手した限りは、それをなし遂げなければなりません。理事者側の一層の努力を期待しております。 戦後の復興期より、高度経済成長期を経て、バブルの絶頂期、そして崩壊期を通して、その間、さまざまな建築物や道路や住宅開発が行われてきましたが、その主体は行政主導型で行われてきました。その過程の中で、まちづくりは自分たちの生活を守り、自分たちが責任を持ってつくり上げていくという村型社会から、いつしか行政主導型の都市型に変化し、市民にとっては、自分たちの手の届かないところでまちづくりが行われ、お上の言うとおりにやっていればいいという行政依存型の風土がつくり上げられてきました。顔の見える市民・住民の村型から、顔の見えない都市型への変化の中で、行政主導型の施策の推進だけでは、市民・住民の要望が正確に吸い上げられず、福祉やまちの自治、各種の計画に反映されず、批判や不満が高まります。 一方、何でも行政がしてくれるという、また要望、陳情をしていればよいという市民・住民側の甘えの構造では、今後のまちづくりや奈良の発展は考えられません。阪神・淡路大震災で注目を集めたボランティア運動に象徴されるように、各種の市民団体やグループが、自分たちの努力と責任でまちづくりを行おうという芽が芽生えております。行政側からだけの視点ではなく、市民とともに創意工夫し、知恵を出し合い、責任を分担していく視点に、今まさに変革を加えなければいけない時期が来ているのではないかと思います。 本市におかれましても、その辺のところは痛切に感じ取っておられると思いますが、今後、都市行政における市民とのパートナーシップに基づくまちづくり、市民との共生のまちづくり、そしてまた、そのための人づくりについてどのようにお考えか、お尋ねします。 次に、さきの質問にも関連しますが、我が党は、平成六年七月に、奈良市街区公園や近隣公園や緑地帯を三百三十五ヵ所の安全総点検を行い、市長に改善の必要箇所について対処を要望しましたが、着実に努力をいただいております。しかし、その後、少子化傾向や高齢化社会への突入により、街区公園等の用途や性格が変化をしてきております。例えば、乳幼児の声がなくなり、にぎやかな声が消えたところ、近隣に商店街が増加し、ごみの山、公衆便所のようになったところ等々、市民のモラルを初め、さまざまな変化が生じています。 そこで、希望のあるところから街区公園の改修・改良について、市民の要望を広く聞きながら、その地域の市民とのパートナーシップのもとに行っていくお考えはないか、お尋ねします。 次に、教育長にお尋ねします。本年、小学校に三台のノート型パソコンが導入され、現場的には少々戸惑いがあるようですが、情報教育に大きな一歩を前進されたことを大変評価しております。この一年間で七百七十万台のパソコンが出荷され、インターネットの世界は、想像をはるかに超え、そのネットワークを拡大しつつ、未知の世界を創造しております。しかし反面、セキュリティーの問題や、有害情報やさまざまな多くの問題点が提起されていることも事実で、よく存知しておりますが、今後ますます、マルチメディアの世界は、お年寄りや身障者の人たちの間に拡大し、その活用を容易にするテクノロジーが発達し、情報化、デジタル化がされていくことと思います。その時代を支えていくのが、今の子供たちだと思います。 私は、十一月八日に登美ケ丘小学校で行われました市教育委員会指定研究校の発表会に参加させていただきました。その中で、一年生から六年生までの、コンピューターに触れ、なれ、親しむを目的にした授業での活用を紹介されましたが、初めてパソコンに触れるという先生方が、悪戦苦闘しながら子供たちと一緒に学び、つくり上げてこられた、その御苦労と見事な成果を称賛したいと思います。子供たちが「ちゃうちゃう、こうすんねん」と友達に教えたり、「もうちょっとしたら出てくるさかい、待ってや」とインターネットにアクセスをしている子供など、先生方の努力は、パソコンクラブの子供たちが楽しげに実演してくれた姿と笑顔に象徴されていたように思います。そして、最後に質問会が行われましたが、約二百人の先生方は、一様にその成果に驚き、感動するとともに、自分に当てはめてみると、また自分の学校で推進していくときの不安と疑問を質問されておりました。例えば、コンピューター導入のこの時期、職員の研修を進めていく手だてがわからないとか、コンピューターの活用をするとき注意するのは、どのようなことか等々、切実な問題として真剣に質問をされていました。そこで、今後の取り組みの中で大切だと考える何点かについてお尋ねいたします。 まず第一点目は、先生方を支援するために夏休みに集中研修を行ってこられましたが、全学校に配置された今は、パソコン操作のできる先生やインターネット経験者を中心にコンピューター教育推進研究会のようなものを設置し、常に一般の先生方から電話やファクスで質問ができるようなシステムをつくる必要があると考えますが、いかがでしょうか。 第二点目は、先生方が学習し、研究し、体験するために、教育用ソフトの整備をするために、文部省が推進するソフトウエアライブラリーを設置するお考えはないでしょうか。 第三点目は、整備の整った学校の子供たちは、既に世界じゅうから情報を選び、集め、自分のつくった作品や成果を世界や日本の仲間に発信する楽しみを味わっています。また、先生方も百校プロジェクトで実験され、蓄積された情報教育のデータやノウハウを容易に人手できるインターネットの基盤整備を増加させ、インターネット活用校を増加させ、学校間のパソコン通信網の整備が必要ではないかと考えますが、どのようにお考えでしょうか。 平成十一年、小学校には、二人に一台で二十二台の設置、中学校には、一人二日で四十四台の設置が目標にされております。来年からしますと、たったあと三年しかありません。今、最も必要なのは、先生方の恐怖感を取り去ることであり、情報教育方法のマスターであり、教育の機会均等であり、インターネットによるネットワーク化です。未来の高度通信情報社会を担うのは子供たちです。教育長の積極的な答弁をお願いいたします。 ここで、ちょっとコンピューターから離れて、学校週五日制についてお尋ねします。 一九九二年二学期より実施され、現在、第二・第四土曜日が休校になり、第三次中教審では、二〇〇一年初頭には完全学校週五日制を実施し、教育目標、教育方針を、知識偏重から自分で課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する力、すなわち生きる力を育てる方向に変化しております。子供たちにゆとりを持たせ、家庭や地域に子供を返していこうとしています。本市でも、田原中学校では、平成四年、五年度、文部省、県・市教育委員会指定で、この学校週五日制を中心に研究されたと聞いております。以来、全校でさまざまな試行錯誤を繰り返しながら、学校週五日制推進協議会を中心に推進を図ってこられましたが、現在、軌道に乗っている学校は何校ぐらいあり、どのような活動をされているのか。また、第三次中教審が言う地域教育に依存しなければいけないとするとき、地域でどのような受け皿や体制が必要とお考えなのか、お尋ねします。 以上で第一問を終わります。 ○副議長(米澤保君) 山中助役。   (助役 山中俊彦君 登壇) ◎助役(山中俊彦君) 金野議員の御質問にお答え申し上げます。 国が推進しております留学生十万人受け入れ計画によりまして、奈良に来る外国人留学生も増加の一途をたどっております。とりわけ、私費留学生の増加が、著しくふえているということでございます。現在、国におかれましては、私費留学生の受け入れに当たり、育英資金制度、授業料減免制度、あるいは留学生受け入れに係る経常経費補助など支援策を講じられているところでありますけれども、選考基準が非常に厳しく、また、その枠も非常に少ないわけでございます。 こうしたことから、奈良市におきましても、先ほどちょっと触れられましたけれども、留学生の皆さんが安心して勉強していただけるよう、奈良市外国人留学生健康奨励金の支給制度を実施しているところでございます。しかし、物価水準の違いや住宅問題などによりまして、一部留学生にあっては、先ほど御指摘がありましたように、ラーメンしか食べられないとか、ふろのある家に住めないとかいう問題も生じておることは存じております。 これらの留学生は、帰国後に母国と奈良との友好のかけ橋となることができることから、留学生を支援し、勉学に専念できる何らかの条件整備が必要ではないかと考えております。したがいまして、奨学金制度など支援策について、他の自治体の例などを調査研究してまいりたいと考えております。 以上です。 ○副議長(米澤保君) 企画部長。 ◎企画部長(南田昭典君) 国際交流センターの建設に当たっての市民参加等の御質問にお答えいたします。 近年、国際化、情報化が進む中、友好・姉妹都市の交流、あるいは市民・民間交流団体への支援、イベントの開催、あるいは国際的コンベンションの誘致など、国際交流活動は本市の重要施策であり、市を取り巻く状況に慎重に対処しながら、その推進に取り組んでまいりたいと考えております。仮称ではございますが、国際交流センターは、国際交流の拠点となる施設であり、その役割、機能、運営等について、十分検討を加えなければならないと考えております。このため、建設に当たりましては、関係機関あるいは団体等との調整を図り、市民・民間交流団体等幅広い方々の意見を伺い、その意見の蓄積と集約を重ねて、触れ合いの場となるよう、充実した施設としてまいりたいと考えておるところでございます。 以上でございます。 ○副議長(米澤保君) 都市計画部長。 ◎都市計画部長(吉田信博君) まちづくりに関する行政と住民のあり方についてお答えさせていただきます。 都市基盤整備や各種施設の建設など、まちづくりにおきまして、市民が多様な形で参加し、建設的な方向で行政と住民が新しいパートナーシップを築くことは、今日の成熟した市民社会で重要なことであると認識しております。 また、計画段階から市民が参加し、合意形成を深めつつまちづくりを進めれば、よりよいまちづくりが可能であるものと考えております。しかしながら、よりよいパートナーシップを築くためには、行政も市民も、より一層努力する必要があるんではないかと考えております。まず、行政においては、住民参加のシステムづくりを目指し、そして市民においては、まちづくりの仕組みや制度を理解するとともに、個人の利益だけを考えるのではなく、まち全体の利益を考える広い視野を身につける必要があると考えております。また、この市民啓発のプログラムづくりは、行政の責務であるとも考えております。 そこで、現在、奈良市では関係する九部長が集まり、市民啓発のプログラムづくり等についてワーキンググループをつくり、七月以来、勉強を重ねております。そのワーキングの中で、議員、御質問がありました市民参加による公園整備については、公園が市民に最も身近な公共施設であることから、市民参加のまちづくりの入門として、極めて適しているとの議論が出ております。今後は、このワーキングを重ね、市民参加による公園整備を実現する方法を見出すなど、具体的な取り組みを始めてまいりたいと考えております。 以上です。 ○副議長(米澤保君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 まず初めに、コンピューターによる教育について、その基礎として、教員の研修についてでございますけれども、本市の情報教育のあり方につきましては、私も、高度情報化社会を担う本市の子供たちが存分にその力を発揮できるよう、教育の条件整備を一層進めていかねばならないというふうに考えてございます。そのために、まず、御指摘のように、先生方の研修体制につきましては、いつでも研修できるよう、その研修体制の充実を図ってまいりたいと、このように考えてございます。 次に、利用環境の整備についてでありますけれども、ソフトウエアライブラリーは、現在、御承知のように、各府県及び政令都市でその整備が進められているところでありますが、今後の国や県の設置計画を踏まえ、教育現場の先生たちがより活用しやすいものを検討してまいりたいと思います。 次に、学校におけるインターネット等のネットワークの利用についてでございますけれども、これまでも子供の人権保護を第一に考え、個人情報の保護や有害情報の管理を確立しつつ、多くの有益な情報伝達が保障できるようなシステムを進めるべきであると考えてまいりました。しかし、環境の整った学校で学ぶ子供たちは、既に大きな力を蓄えており、今後ますます、情報教育の分野では、学習環境の違いによる学力格差が問題になってくると考えられますので、本市といたしましても、早急に学校間ネットワークの具現化を図ってまいりたいと、このように考えてございます。 次に、学校週五日制についての地域の活動状況と受け皿--これは条件整備でございますけれども、それについてお尋ねいただいておるわけでございますけれども、学校週五日制実施推進協議会は市内の四十四小学校ごとに設置され、それぞれの校区の実情に合わせて、第二・第四土曜日に活動いただいているところでございます。本年度は、このうち二十九の協議会に校外活動事業を委託をいたしてございます。その主な活動内容は、映画会とか、あるいはスポーツ大会、ハイキング、自然観察会、写生会、音楽鑑賞、あるいはゲーム大会などがございます。 また、御指摘のように、完全学校週五日制の実施に向けた条件整備でありますけれども、そこでは子供たちが主体的に考え、判断するために、子供の休日の選択メニューを拡大すべく、家庭あるいは学校、地域のそれぞれが工夫し、相互に相連携しなければならないというふうに考えてございます。 以上です。 ○副議長(米澤保君) 七番金野君。 ◆七番(金野秀一君) 第二問は自席より行います。 助役並びに教育長や関係理事者には、るる御説明、また前向きな御答弁をいただきました。第二問につきましては、主張と要望にとどめておきたいと思います。 まず、留学生の奨学金制度や、その他の支援につきまして、条件整備の必要性を認識したと、また、これからしていくという御答弁をいただきました。で、私が奈良市内の各大学を訪問してきたところによりますと、民間の奨学金を含めてですね、どこの奨学金も受けておられない方が三十七名、約三二%ほどの人がおられました。また、奨学金制度を導入している全国の市町村の状況ということでしたけれども、これについても、平成六年度の資料でいきますと、市単独で行っているところというのは二十四、市とか区でですね、行っているのがそういう状況でした。そして、支給額においても、月五千円から月八万円という、こういう大きな幅がありました。大体五千円を支給しているところが一七%、一万円が二五%、二万円が二五%、こういう状況になっておりました。また、宿舎に入れないでアパートに入居している奈良市の留学生の数は七十六名で、私費留学生の方の六五%の人たちが、高い家賃で生活費を圧迫されながら勉強をされておりました。そのほか、家賃や敷金補助、また敷金融資制度を実施しているところは、全国で十九県、そして市では二十四の自治体で行われています。奨学金制度や宿舎支援を実施している自治体が二十四というのが、多いのか少ないのか、これは問題ではないと思います。国際文化観光都市として、一つは、世界の留学生に安心して学べる環境を奈良市が提供しているということを訴えてまいりたいと思いますし、また二つ目には、まちの中に、またお店で市民が直接、外国人と交流し、にぎわうまちづくりをしていくためにも、ぜひ奨学金の支給制度や家賃制度の導入を積極的に要望をさせていただきたいと思います。 また、国際交流センターにつきましては、我が党も熊本市の国際交流会館に行ってですね、見せていただきました。非常に立派な建物過ぎるというぐらい、地上七階、地下二階ということで、この中ででも、ほとんどが市民との交流に重きを置いた事業を盛んに行われておりました。ただ、若干、ひょっとすれば維持費が大変じゃないかなという心配する部分もありましたので、その辺もあわせてですね、考えていかなければいけないかなと思いますけれども、その基本的には、市民との交流で、市民が海外を知り、国際感覚を養うためのものが中心に、いろんな事業をされておりました。 そういう意味で、奈良市の国際交流センターの建設については、経済的に厳しい状況をよく理解しております。ですから、せめて市民が、またいろんな人たちが、この建設に向けて、希望を持ってかかわれるようにお願いをしたいと思いますし、また、その中で、百周年を目指して、奈良市が今、中心に行われてます奈良市の姉妹都市交流を通した歴史がございます。百周年記念としてでもですね、ぜひ、この奈良市の国際交流の実績をまとめたですね、国際交流史のようなものの発行をあわせて要望をさせていただきたいと思います。 それから、まちづくりにつきましては、本当に、各部長を初めですね、ワーキンググループをつくって研究をしていただいていると聞きまして、本当に安心しておりますが、昨年、私が横須賀市の駅前周辺整備に視察に行きました。そこでは、本当に完全に、原案段階から市民の方々の建設的な意見、また計画に反映をさせる方法等をとっておられて、スムーズに事業が進んでいるという実例を拝見してきました。そしてまた、先日、横浜市のパートナーシップ推進モデル事業ということで視察をさせていただきました。市長が庁内報で書かれてる、パートナーシップとは対話からというお話をされております。それをちょっと紹介をさせていただきたいと思います。 市民一人一人と直接に顔を合わせ、対話をすることだと思います。私自身、若いころに、地元の水防団の方々と、毎晩のようにひざを交えて話し合った経験が、今でも大きな財産となっています。中をちょっと抜きますけれども、市民と行政の関係は、対立的なもの、一方通行のものであってはならないし、また、何でもすべてを市民にゆだねて決定し、行政はただそれを実施すればよいというものではありません。私は、市民と行政の相互が理解し合い、協力していくパートナーシップの関係が望ましいと考えております。市民の中には、身近な生活から地球環境まで、さまざまな意見があります。声高に自分の意見を言う人が実行はしない、そんな要求型の人がふえている一方、地域のために熱心に汗を流す人たちがいます。自治会・町内会活動、ボランティア活動等、それらが地域の舞台でうまくつながるよう、日ごろからオープンな意見交換の場をつくり、声なき声を手探りでとらえる工夫をしましょう。 こういうことで庁内に徹底をされておられます。そして、パートナーシップ推進モデル事業では、まちづくりは人づくりの認識に立って、まず一番目に実施されているのが、やはり行政マンの意識改革、二番目が行政システムの再編成、三番目が市民の啓発啓蒙、四番が市民との対話システムをつくり上げると、ここに全力を挙げておられました。そして、行政体の最大の欠点でもある縦割り行政を改め、横の連携も密にするということで、企画部、市民部、都市計画部が合同チームを結成し、政策推進課というところを設置してですね、行政と住民と一体になり、対話を軸に、信頼を取り戻したまちをつくっていこうということでやられておりました。 先日の京都市でも、市民参加の市政をということで、課長さん、係長さん、職員十五名程度でそのプロジェクトチームをつくって、市政を推進していこうと、こういうことが述べられておりました。本当に、今、そういう一つの大きな潮流になってきているのではないかなと思います。 そこで、市民参加と言葉で言うのは簡単ですけれども、その実行となると多くの課題があり、また先ほどありましたように時間が必要だと思います。しかし、その第一歩として、行政側に横断的な組織やプロジェクトをつくるというか、そういうことを先ほどできましたので、大いに期待をさせていただきたいと思います。そしてまた、対話と合意を図るノウハウを行政マンが、学習会や、また専門家による研修会等を本当に積極的にお願いをしたいと思いますし、特に、市民に対しては、例えばまちづくりリーダー講習会、また、ある意味では大阪勤務者が多い中でございますので、大阪勤務者を対象にしたまちづくりサラリーマン会議や、また、例えば建築設計士や造園師など、まちづくりにかかわってきた人、OBといいますか、そういう人たちをリストアップした、例えば文殊人材バンクということで、文殊菩薩の知恵をかりてですね、そういう人材バンクをつくる必要があるんではないかなと。 また、自主グループのあるところには、専門家派遣制度などをつくることによって、市民参加のまちづくりのための環境整備をするとともに、熱意と情熱を持ち、創造力豊かな行政マンの育成を、ぜひ市長に要望をしておきたいと思います。 公園につきましては、本当に積極的な答えをいただいて、本当にモデルケースとなるように、またお願いをしたいと思います。 それから、公園づくりにつきましては、我が党議員団も大分市で視察をしてまいりました。そこでは、公園リフレッシュ事業ということで、五つの公園に対してやっておられました。その地域地域によって、例えば商業施設の集積地では半ば駐輪場に設定するとか、子供の多いところはアスファルトをなくして地道にするとか、市街地には樹木を多くして水辺を取り入れてトイレを完備する等々ですね、市民とともにやっておられました。ですから、どうか積極的にお願いをしたいと思います。 それから、コンピューターの情報教育につきましては、教育長の方からも御答弁いただきました。どうか先生方も本当に、今、不安を持っておられるようでございますので、どうかそういう研修のできる場の設定をお願いをしたいと思います。例えば、一つの例ですと、マーチャントシードセンターがございますけれども、本当にあこにはパソコンの操作、そしてソフトウエアが整って、インターネットに精通した人材がいるセンターがあります。こういう教室を借りて、コンピューター教育推進研究会を開催されてはどうかと提案をさせていただきたいと思います。もし、経済部の施設ということで、教育が使いにくいということであれば、それこそ縦割り行政の最たる弊害ではないかと考えますし、逆に財政難の折、最も投資が少なく、手間も要らず、従来の施設の最大の活用にもなるのではないかなと、このように考えます。もし、どうしてもできないということであれば、やはりどうしても、例えば余裕教室ですね、どこかの余裕教室を開放して、先生方が研修のできる施設、例えばコンピューター十台ぐらい入れてですね、ISDNの専用線を引いて、インターネットに接続する可能な施設をつくる必要があるんではないかなと。そうすることによって、先生方の習熟度を高め、情報の交換のできる場の設定が急務ではないかなと、このように思います。 最後でございますけれども、学校五日制につきましては、第三次中教審の方向を考えますと、地域教育ということで、本当に地域の人たちがどう支えていくかという問題になっております。今、支えていただいているのは、学校五日制推進協議会の皆さん方だと思いますので、その人を中心に、この中教審に備えてですね、いろいろな施策を積極的にお願いをして、要望とさせていただきたい、このように思います。 以上で第二問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(米澤保君) お諮りいたします。 本日の会議はこの程度で打ち切り、明十日午前十時より本会議を再開して質疑並びに一般質問を行いたいと思いますが、そのようにいたしまして御異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(米澤保君) 異議なしと認めます。 よってそのように決定いたします。 本日はこれで散会いたします。  午後四時三十三分 散会--------------------------------------- 地方自治法第123条第2項の規定によりここに署名する。     奈良市議会議長   中村誠一     奈良市議会副議長  米澤 保     奈良市議会議員   岡田佐代子     奈良市議会議員   田中美智子     奈良市議会議員   中村重信...